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キタサンブラック「最後の有馬記念」をTVアニメ『ウマ娘 プリティーダービー Season 3』はどう描いたか?「“ユタカ”コールではなく…」【ウマ娘考察#7】
posted2023/12/29 18:01
text by
屋城敦Atsushi Yashiro
photograph by
©2023 アニメ「ウマ娘 プリティーダービー Season 3」製作委員会
本稿では、ピークを過ぎ、衰えに抗う主人公キタサンブラックのラストレースまでを描いた第12~13話を振り返る。今回も、モチーフとなった史実との共通点や、『ウマ娘』ならではのこだわりを楽しんでいただきたい。全7回の第7回/初回から読む
しゃべったのは、ロイスアンドロイス
【第12話】
史実とは異なり、ジャパンカップを前にして行われたキタサンブラックの<トゥインクル・シリーズ>引退会見。いよいよクライマックスも間近なこのタイミングで、これまで名前の末尾が“ス”としか出ていなかったウマ娘がロイスアンドロイスだったということが明らかになる。
ナイスネイチャ、ツインターボ、マチカネタンホイザ、イクノディクタスにサウンズオブアースといった、他のチーム<カノープス>所属ウマ娘と同様、非常に個性的な戦績を誇る彼女。デビューから6戦未勝利のまま青葉賞に挑んで3着に入ったことから“最強の0勝馬”と呼ばれ、デビューから12戦連続で3着以内をキープ(そのうち未勝利戦で1勝)。さらに1994年の天皇賞(秋)、ジャパンカップでは重賞未勝利ながらそれぞれ3着。キタサンブラックに対して「一目どころか二目も三目も」置くというのも、自身が2着、3着が多かったことゆえのセリフに思えてくる。
未練はある意味、未来に向けての希望
キタサンブラックの引退会見を受けてエアグルーヴはドゥラメンテに「未練はある意味、未来に向けての希望だ。それを持ち続けることでいつか叶うかもしれないな。運命に導かれて」と語る。現実では、キタサンブラックやドゥラメンテたちの世代は種牡馬としても高いレベルで現在もライバル関係を築いており、その暗示を思わせる言葉だ。
もう一方のライバル、サトノダイヤモンドは年内不出走を決めていた。当時を振り返ると、喘鳴症の噂も出るなど凱旋門賞におけるダメージの大きさもあっただろうし、同門のサトノクラウンがキタサンブラックと同じローテーションで参戦を決めていたこともあって、無理に出走する必要がなかったこともファンのあいだでは理由として考えられていた。結果として、キタサンブラックとサトノダイヤモンドの直接対決はわずか2戦で幕を閉じることとなる。