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アニメ『ウマ娘 プリティーダービー Season 3』に秘められた史実を考察してみた「マチタンのクモ茶の由来」「このセリフは、あの歌詞?」【ウマ娘考察#2】
posted2023/10/20 18:00
text by
屋城敦Atsushi Yashiro
photograph by
©2023 アニメ「ウマ娘 プリティーダービー Season 3」製作委員会
本稿では、主人公のキタサンブラックが惨敗を喫したダービーから立て直し、菊花賞に挑んでいく第2話を振り返る。モチーフとなった史実との共通点や、『ウマ娘』ならではのこだわりをピックアップした、Number Webとしての考察を楽しんでいただきたい。(前回は#1へ)
少しローテを詰めすぎていたかもしれない
第2話は、ドゥラメンテの衝撃的な圧勝劇で終わったダービーの後から始まる。14着と惨敗に終わったキタサンブラックは、ひどく落ち込んだ様子。無理もない。皐月賞前までは3戦3勝の無敗街道を進んでいて、幼いころから憧れ、背中を追い続けてきたトウカイテイオーの背中にも手が届きそう、“夢”が叶いそうだったのが、この2戦で雲散霧消してしまったのだ。リアル競馬では毎年のように見られる出来事であるが、勝負の世界は残酷である。
そんなキタサンブラックを、トレーナーは「少しローテを詰めすぎていたかもしれない」と反省し、慰める。たしかにリアルでも、明け3歳の1月31日にデビューして5月31日のダービーまで、丸4カ月で5戦もこなすという厳しめのローテーションではあった。
史実ではそもそも、キタサンブラックは本格化には時間が掛かると思われていた。そのためデビューは年明けになったし、じつはクラシック登録も行っていなかった。それが思わぬ活躍を見せたため、追加登録料を払って皐月賞、ダービー、菊花賞に出走させていたのだ。ゆえに、ローテーションが厳しくなったのも想定外の出来事だったのである。
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この追加登録料というルールについて説明しておこう。秋華賞を除く5つのクラシックレースでは、全部で3回の特別登録が必要となる。1回目は2歳秋、2回目は3歳の年明け、そして3回目がレース2週間前である。それを1回でも欠かすと、出走するには3回分の5倍にもなる追加登録料を払わなければならない。厳しいようだが、それでも以前は特別登録を欠いた馬は例外なく出走を許されなかった。地方競馬から移籍してきてクラシックに出走できなかったオグリキャップの一件があり、ようやくそのルールが変わったのだ。
春も夏も秋も冬も…これはあの歌の歌詞ではないか?
ちなみに、追加登録料を払ってクラシックレースに出走する馬は毎年のように現れる。その中で勝利した馬は1999年皐月賞のテイエムオペラオーを皮切りに、2002年桜花賞のアローキャリー、同年菊花賞のヒシミラクルなどがいる。