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シュヴァルグランの“大食い”も再現、TVアニメ『ウマ娘 プリティーダービー Season 3』はキタサン世代をどう描いたか【ウマ娘考察#6】
text by
屋城敦Atsushi Yashiro
photograph by©2023 アニメ「ウマ娘 プリティーダービー Season 3」製作委員会
posted2023/12/29 18:00
サトノクラウン(左)、シュヴァルグラン(右)と食事をするキタサンブラック
実際のレースで波乱となった要因としては、前走天皇賞(春)での驚異的なレコード勝ちの反動が来ていたことに加え、サトノクラウンのミルコ・デムーロ騎手の好騎乗が大きかった、とも言われている。キタサンブラックを後ろから“突っつく”形を作って早めの進出を余儀なくさせて消耗させ、自身は後ろで万全の態勢でラストスパートするという作戦がハマったのだ。
とはいえ、キタサンブラックは調教では好調を維持していたこともあり、9着という結果は「まさか」であった。史実では陣営も敗因が特定できず、アニメでもキタサンブラック自身が「あれ?」と心の中で連呼し、信じられない様子で膝に手をつき、第10話は幕を閉じる。
大食いシュヴァルグラン伝説
【第11話】
凱旋門賞制覇を目指し、フランスへと旅立つサトノダイヤモンドを見送ったキタサンブラックたち。残った3人で食事をするシーンでは、シュヴァルグランの健啖家ぶりが目立っていた。実際、シュヴァルグランは食欲旺盛で知られていて「馬体重のコントロールが課題」と言われたほど。2016年の有馬記念の際は中山競馬場の出張馬房で寝ワラを食べてしまったため思うように体重を減らせずに調整失敗してしまったというエピソードもある。
その後ろではビワハヤヒデがバナナをモリモリと食べている。ビワハヤヒデのバナナ好きも有名で、バナナを見つけると食べていたニンジンを吐き出してでも食べに向かったという逸話の持ち主だ。
ピークを過ぎたんだよ、お前は
ゴールドシップはキタサンブラックに対し、「ピークを過ぎたんだよ、お前は」と冷静に言葉を投げかける。史実でも、天皇賞(秋)を前にした調教で時計が上がらず、清水久詞調教師も「鍛える時期は、終わったと思います」と語っていた。
授業では集中力を欠き、食欲もない。まったく良化の兆しがないキタサンブラックだが、商店街の人々は横断幕を作って応援を続ける。よく見るとそのデザイン、史実でキタサンブラックの後期育成を手掛けた日高軽種馬共同育成公社が作ったものと似ている。