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フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
元パートナーがライバルに…本人の胸中は? 新星・田中梓沙&西山真瑚が“アイスダンスを決意した日”「すごく心強い競技だなと思います」
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph bySean Gillis
posted2023/12/15 17:01
ゴールデンスピン杯で演技を行うアイスダンスの田中梓沙&西山真瑚組
歴史的にエリートの白人のスポーツと言われてきたフィギュアスケートだったが、シングルでは1980年代後半から、伊藤みどりをはじめとするアジア系の選手が五輪のメダル争いに加わった。だがアイスダンスでは、2018年平昌オリンピックで銅メダルを手にした日系アメリカ人、シブタニ&シブタニが初めてのアジア系メダリストだ。真剣に世界のトップを目指す西山にとって、インスピレーションをもらえる存在なのだという。
アイスダンスは“チームジャパン”にとって重要なカギ
彼らにとっても、もちろん2026年のミラノ・コルティナダンペッツォ五輪は大きな一つの指標となっている。3年後にどの組が代表になっても、それは個人戦だけでなく、2022年の北京五輪で初めて団体戦の銅メダルを手にしたチームジャパンとしての大事な役割が課せられる。
男女シングルでは現在の日本には強豪が揃っている。ペアは怪我から回復中の世界チャンピオン三浦璃来&木原龍一に期待がかかるが、もちろんいつまでも彼ら頼みではなく若手の育成につなげていくことは重要だ。
チームジャパンが再度銅メダル、あるいはそれ以上の結果を目指すのなら、アイスダンスの代表がどこまで世界と戦えるかというのは重要なカギとなる。
吉田唄菜&森田も、田中&西山も、数年後には国際大会でメダルを狙えるアイスダンサーに成長する資質は十分にある。その意味でも、アイスダンスはもっと注目に値する種目なのだ。
元パートナーがライバルに「いやーもう、すごい手ごわい」
吉田と西山は「うたしん」の愛称で注目を集めた元パートナー同士でもある。かつてのパートナーがライバルになったというのは、どんな感覚なのだろう。
「いやーもう、すごい手ごわいチームが相手だと思って……(苦笑)。でもぼくたちも負けないように頑張って、彼らについて行きたいなと思っています。いずれは勝てるようになりたいなと思っています」
そう言う西山は、自分たちのフリー演技終了後、リンク際から吉田&森田組に大きな声援を送っていた。
一方吉田は、「ライバルがいるってすごくありがたいこと。一緒にこれからも戦っていけることが楽しい」と感謝の言葉を口にした。
どの種目でも、成長するためには実力の競ったライバルの存在が欠かせない。その意味では小松原美里&ティム・コレト組にとっても、この若手2組の存在は大きなモチベーションになっているだろう。全日本選手権は面白い戦いになりそうだ。
日本のアイスダンス界の新星たちの、これからの成長に期待したい。
《吉田唄菜&森田真沙也組をレポートした前編も公開中です》