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フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
元パートナーがライバルに…本人の胸中は? 新星・田中梓沙&西山真瑚が“アイスダンスを決意した日”「すごく心強い競技だなと思います」
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph bySean Gillis
posted2023/12/15 17:01
ゴールデンスピン杯で演技を行うアイスダンスの田中梓沙&西山真瑚組
リズムダンスは「スーパーマリオブラザーズ」
リズムダンスの「スーパーマリオブラザーズ」は、アグノエルコーチが子供のおもちゃを見てインスピレーションを得たという作品。ビデオゲームの音楽にのって、キュートで表情豊かに滑り切り、61.86のスコアで10位スタートに。二人ともシングル競技で培ったスピードと、足元のしっかりしたスケーティングが強みである。
フリーはバレエ音楽「ジゼル」の一幕の音楽を使用したプログラムで、やはりアグノエルが振付を担当した。スタートは好調だったが、後半で少しバランスを崩しかけるなどの細かいミスが出て、それでも1つ順位を上げて総合9位という結果になった。西山が演技を振り返ってこう語った。
「率直な気持ちはめちゃくちゃ悔しい。できるはずのこともできなくて、がっかりしているところがあります。でもその分、改善できるところもたくさんあるので、期間は短いけどモントリオールに戻って復習して、全日本で頑張りたいです」
「アイスダンスはすごく心強い競技だな」
実は西山のスケート靴が入ったスーツケースがエアラインによって紛失され、リズムダンスの前夜にようやく届くというアクシデントがあった。靴が届くまで、地元のシンクロナイズドスケーティングチームのメンバーの靴を借りて公式練習をしていた影響もあったのか。そう聞くと即座に「いえ、本番は自分の靴で滑れたので。自分の実力不足です」ときっぱり否定した。
「準備はしっかりしていたけれど、本番で出すべきものが出せなかったということだと思います」
それでもお互いの相性の良さの手ごたえは、しっかり感じている。
「二人のタイミング、感覚とか慣れないといけないのは難しいところですが、そんなにめっちゃ難しいとか思ってなくて、練習していたら自然に揃ってきた」と西山。一方アイスダンス初挑戦の田中は、「シングルだと緊張しても一人。でもアイスダンスは一緒に練習してきたパートナーがいる。すごく心強い競技だなと思います」と楽しさを強調した。
「西洋人でなくても、アジア人でも…」
憧れのダンサーはいるのだろうか。そう聞くと、西山はこう答えた。
「ロールモデルはシブタニ組(マイア・シブタニ&アレックス・シブタニ)。西洋人でなくても、アジア人でも世界、オリンピックの表彰台に乗っているのを見て、元気づけられ勇気をもらえた」