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大谷翔平の後払い契約に賛否“本当の理由”「思いやりの提案が…」「ジャッジの14年契約は認められず」代理人バレロが米メディアに語った“内幕”
text by
水次祥子Shoko Mizutsugi
photograph byGetty Images
posted2023/12/13 17:01
大谷翔平の移籍劇を振り返る。写真は2021年オールスター時(左がドジャースのロバーツ監督)
アスレチックスの外野手ブレント・ルーカーはXにこう投稿した。
「世界滅亡の終末もの映画や番組を観過ぎているので、そんな先まで後払いを組むなんて、僕にはできない(そんな契約をするほど野球はうまくないけれど)」
米スポーツメディア「ジ・アスレチック」の編集者メリッサ・ロッカードさんもこう指摘する。
「2043年の社会が正常に機能していると楽観しているオオタニを尊敬する」
ネズ・バレロが語った“契約の内幕”
契約交渉中に沈黙を守ってきた大谷の代理人ネズ・バレロ氏は、契約合意にこぎつけた後の11日付の米専門誌「スポーツ・イラストレイテッド」でこの契約が成立するまでの舞台裏を明かしている。それによると、大谷は11月にFAになると、バレロ氏にすかさず聞いてきたという。
「僕のチームが戦力強化できるよう、僕の年俸すべてを後払いにするというのはどうだろうか?」
その言葉を受けて、バレロ氏は労使協約書を読むことに没頭した。そして「選手は少なくとも規定の最低年俸を受け取らなければならないが、後払いにする金額の制限はない」という条項があることを確認したという。年俸を200万ドルに設定したのは、大谷自身の考えだった。バレロ氏はこう語る。
「彼がすることはすべてが独特で、その思考には隙がない。これだけ責任感を持ってチームの勝利に貢献しようとする選手がいるだろうか。純粋な気持ちで周囲を思いやる彼の人柄を象徴している」
大谷の思いやりが“賛否”に…
史上最高額の契約金を史上最高の割合で後払いにするという驚きの契約は、SNSで今も賛否が渦巻いている。スポーツ実況アナウンサーとして知られるクリス・ローズ氏は自身のポッドキャストで「ショウヘイがこれまでブーイングを受けた記憶はないが、今後は受けるかもしれない。彼がどうブーイングに反応するか興味深いね」と話している。
後払いの金額に制限がないという点は、MLBと選手会が労使交渉をしたときに制限を提案された選手会が拒否したため、その結果だとも伝えられている。大谷のこの契約で、次回の労使交渉では再び議論が持ち上がるかもしれない。大きな波紋を広げる、衝撃的な契約だった。