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大谷翔平の後払い契約に賛否“本当の理由”「思いやりの提案が…」「ジャッジの14年契約は認められず」代理人バレロが米メディアに語った“内幕”
text by
水次祥子Shoko Mizutsugi
photograph byGetty Images
posted2023/12/13 17:01
大谷翔平の移籍劇を振り返る。写真は2021年オールスター時(左がドジャースのロバーツ監督)
米ファンの声「ジャッジは認められなかったのに…」
ドジャースにとって最高の契約という声が上がる一方、他球団ファンからは反発の声が上がっている。米スポーツ専門テレビ局ESPNのジェフ・パッサン記者がX(旧ツイッター)で大谷の後払い契約が巨額だと伝える投稿をすると、米国の野球ファンからの驚きのコメントが殺到した。
「なぜこれが通るの?」
「認められるべきではない。ルールの悪用だ」
「野球界にとってよくない」
「税を免れる史上最大の抜け穴じゃないか」
「こんなのフェアじゃない」
大部分が後払いという契約が認められるなら、なぜアーロン・ジャッジの14年契約が認められなかったのか疑問を呈する声もある。
昨オフにヤンキースからFAとなったジャッジは、結局はこの時点でのFA史上最高額となる9年総額3億6000万ドルで再契約を結び残留したが、争奪戦に名乗りを上げたパドレスが14年総額4億ドルを超える提示をすると報じられていた。しかしジャッジが44歳になるまでの異例の長期契約に、MLB機構が許可をしない方針であると伝えられ、実際には正式提示は行われなかったとされている。パドレスにとっては、何としても獲得するために高額提示をしたいが、ぜいたく税対策として年平均を抑えるために14年契約を考えた。だが機構側は、44歳になるまで同じパフォーマンスを維持するのは難しいだろうという判断で異例の長期契約を認めなかった。
同じくぜいたく税制度に影響を及ぼす大谷の後払いは労使協定で定められた規定に抵触してはいないが、ジャッジの14年が認められずこれが認められるのは不公平という声がある。特に他球団のファンにとっては、ドジャース一強になる可能性が高まったことで、納得がいかないという思いが強い。
10年契約後…州を出れば節税に?
大部分の後払いがドジャースだけでなく大谷自身にもメリットがあるとの指摘も出ている。ドジャースが本拠地を置くカリフォルニア州は所得税が現在13.3%、来年からは14.4%に上がり、所得税ゼロの州があるアメリカではかなり高額。大谷がドジャースとの10年契約を終了後、カリフォルニア州から引っ越せば節税になる可能性がある。
一方で、20年先までの後払いのリスクを指摘する声もある。