メジャーリーグPRESSBACK NUMBER
大谷翔平とエンゼルス“本当の関係性”「久々にみんなの顔を見て…」「救われてます」メジャー6年間の取材で記者が感じた“深いチーム愛”の話
posted2023/11/16 11:02
text by
斎藤庸裕Nobuhiro Saito
photograph by
Nanae Suzuki
今シーズンも二刀流で偉大な成績を残したエンゼルスの大谷翔平。日本時間11月17日朝のMVP発表を前に、受賞への期待も高まっている。2018年の入団から6年、大谷の言葉を紐解くと、いつもそこにはエンゼルスへの感謝と信頼があった。メジャー挑戦1年目から現地で取材を続ける斎藤庸裕氏の著作『大谷翔平語録』(宝島社)より、【エンゼルス愛】の章を抜粋して紹介します。《全3回の2回目/「盟友マイク・トラウトへの思い」編に続く》
久々にみんなの顔を見て、このチームでも優勝したいなという気持ちになりましたね
◆◆◆
大谷が孤軍奮闘の活躍をしても、チームは負けを喫する――。いつしかエンゼルスファンの間では「なおエ」という言葉が定着した。例えば「大谷が1試合8打点を挙げた。なお、エンゼルスは敗れた」というように、大谷の活躍がありながらチームが負けた際に、「なおエ」と揶揄するのだ。
たしかに、2021年シーズンから3年間の大谷の投打の成績を鑑みれば、「なおエ」と言われても仕方がないチーム成績ではある(エンゼルスのレギュラーシーズンの成績は2021年が地区4位、2022年が同3位、2023年は8月末時点で同4位)。
しかし、逆に大谷が球団やチームメートに助けられていた時期があったのも確かだ。
チームへの感謝と信頼
2022年4月、大谷は開幕からなかなか調子が上がらなかった。月間成績は打者では打率2割4分7厘、4本塁打、11打点。投手では2勝2敗、防御率4.19 。それでも、チームは首位を快走。「なおエ」とは逆の状況だった。その時の大谷の言葉が印象的だ。
「打線のなかでいいところで打たせてもらっているので、自分の調子が上がらない時にこうやって勝っている状況というのは、すごく救われていますし、逆に言えば、こういう状況が常に続いていくわけではないので、もしそうなった時に自分がもう一段いい状態で助けられるように、そういう準備をしたい」