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三笘薫26歳「試合に出れば言い訳はない」勝利の握り拳、街中には「ミトマの漢字Tシャツ」サポと猫が…カメラマンがアテネで見た“美しい風景”
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph byDaisuke Nakashima
posted2023/12/07 17:01
過密日程の中でタフな戦いを強いられている三笘薫。それでもブライトンの勝利のために尽くす姿はファインダー越しからも伝わってくる
サイドラインいっぱいでボールを受けると、一瞬の動き出しで相手を置き去りにするカットイン。顔を上げて逆サイドへのパスを意識させると、キックフェイントで追い縋る相手を翻弄し、フリーになると右足アウトサイドで相手4人の隙間を通すスルーパスで守備ラインの裏を狙った。
惜しくも反応したファーガソンのシュートはGKに弾かれたが、その後の表情には手応えを大いに感じたのだが――。
試合後のコメントでは「いつどうなるか分からないが、ほぼ治ったと思う」と、一応の回復宣言をした三笘だったが、これ以降、最大の特徴であるドリブル突破や“らしさ”を感じさせるボールタッチで見せ場を作るシーンは少なかった。得点に関与することはできないまま69分にピッチを後にしており、怪我の影響が少なからずあるように感じられた。
次第に深い位置からのドリブル、交代時の表情は…
ポゼッションを志向するブライトン全体を見ても、多く抱える負傷者の影響もあってか相手にポゼッション率で遅れをとっていた。実際、試合を通してのシュート数でも倍以上を打たれている。
自ずと三笘も、相手CBやGKへの前向きのプレッシングではなく、自陣向きに相手を追いかける姿が多くなった。攻撃時には、サイドいっぱいに位置する三笘に相対するSBがマンマークについた。ただそこまでタイトについていなかったため、三笘としてみれば十分パスを受けられる状態に見えたが、パスが出てこなかった。
良好な縦関係を構築するエストゥピニャンらの怪我により、この日先発起用された18歳のSBヒンシュルウッドとの連携不足も影響しただろうか。
何度かあったドリブルで仕掛けるシーンも、自陣よりの深い位置からスタートしていたこともあり、効果的な攻撃のきっかけを作ることは難しかった。
ふとピッチ外を眺める姿、交代時の表情からはもどかしさが伝わってくるようだった。
それでもブライトンの勝利に、三笘は雄叫びを
ブライトンは苦戦こそしたものの、後半に入って55分、ボックス内へ侵入したジョアン・ペドロが獲得したPKから先制。65分に退場者を出した相手の自滅に助けられた部分もあった。思わずテクニカルエリアを越え指示を与える指揮官デゼルビの姿、ベンチから声を張り上げて鼓舞するメンバーの後押しもあった。