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日本代表でゴラッソも「カマダは躍動のかけらもない」“イタリア紙、鎌田大地を批判報道”に盲点が2つ…ラツィオ機能不全と“16ゴールの男”
posted2023/11/30 20:10

日本代表ではストロングポイントを生かしたプレーを見せている鎌田大地だが、なぜラツィオで批判が高まっているのか
text by

弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Kiichi Matsumoto
これは腹を括らねばならんかもしれん。
サッリ親分の顔にはそう書いてある。
11月25日、セリエA第13節で彼の率いるラツィオが最下位サレルニターナに1−2の逆転負けを喫した。昨季2位のチームがすでに6敗を喫し、勝ち点17の11位と迷走している。
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奮闘の末の惜敗なら救いようもあるが、前半にPKで先制したラツィオは後半開始とともに守りに入り、あえなく同点と逆転を許した挙げ句、覇気のないプレーを続けた。
「何かがおかしい。このチームは昨年までのチームと別物になってしまった。もはや練習指導でどうにかなるものなのかわからん。もし、ワシ自身が低迷の原因だと判断したら(解任されるのを待たず)クラブを去る決断もありうる」
試合後、苦渋と困惑に満ちた指揮官は辞任の可能性をほのめかし、にわかに緊張が高まった。11月初旬には「ここで指導者キャリアを終えてもいい」と発言していただけに現場のショックは大きい。
代表戦で活躍した鎌田だが、最下位相手の一戦で…
鎌田大地の置かれた状況も切迫しているといえるだろう。実に9試合ぶりに先発の機会を与えられたサレルニターナ戦は、誰より鎌田にとって正念場のはずだった。
11月16日のW杯アジア2次予選ミャンマー戦に先発出場し、鮮やかなミドルシュートで1ゴールを決めた鎌田は、腰痛によって日本代表を離脱してローマへと戻った。調整が必要だったとはいえ、サレルニターナ戦での先発出場は確実視されていた。中盤の大黒柱ルイス・アルベルトが累積警告によって欠場し、その代役は鎌田しかいなかったからだ。