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日本代表でゴラッソも「カマダは躍動のかけらもない」“イタリア紙、鎌田大地を批判報道”に盲点が2つ…ラツィオ機能不全と“16ゴールの男”
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byKiichi Matsumoto
posted2023/11/30 20:10
日本代表ではストロングポイントを生かしたプレーを見せている鎌田大地だが、なぜラツィオで批判が高まっているのか
相手のサレルニターナは開幕から12戦連続未勝利の最下位チームで、10月上旬に新監督フィリッポ・インザーギを迎えたばかり。遠征で乗り込むラツィオはDFロマニョーリとDFカサーレの主戦センターバックコンビも怪我で欠くとはいえ与し易しと考えたサッリ親分は、鎌田をゲームメーカーとして試す絶好の機会と踏んだにちがいない。
このゲームに関して言えば――鎌田は“周囲に生かされる選手”ではなく“周囲を操り、決める選手”であることが求められた。
自陣までボールをもらいにいっているのに
鎌田は、攻撃の全権を握るL・アルベルトの代役として4-3-3の左インサイドハーフに入った。だが、キックオフの後、ボールが回ってこない。ピッチの中央や自陣に戻ってボールをもらいにいってもなかなか組み立てに絡めない。
出場時間の少なさの影響か、パスミスやボールロストを連発した。ワンツーで前に出ようとしたもののFWザッカーニに意図が伝わらずボールを奪われた15分のシーンが象徴的だ。
その結果、前半、ラツィオの攻撃はDFラッザリと中盤のMFゲンドゥージ、そして前線のFWフェリペ・アンデルソンの右サイド3人に偏った。
F・アンデルソンのシュートに対するシャドーの動きをきっかけに、鎌田にもボールが回るようになったのは27分すぎだ。攻勢に出たラツィオは、43分に得たPKを主将のFWインモービレがきっちり決めて先制する。
だが、サレルニターナはシーズン初勝利を諦めなかった。55分に泥臭く同点とすると、11分後の間接FKで36歳のベテランMFカンドレーバが無回転キックによるスーパーゴールを決めて逆転弾を叩き込んだ。
実況「カマダには気迫が足りない」、最低点の現地紙も
相手FWカスタノスを倒して失点の遠因となるFKを与えたのが鎌田なら、シュートするカンドレーバへのブロックが遅れたのも鎌田だったことから、背番号6への心象は甚だ悪いものになった。