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甲子園の風BACK NUMBER
強豪・東海大相模の監督がナゼ岡山に?…《センバツ確定》創志学園で“令和の学生”に思うこと「今を頑張らない子が多い。まずは今、頑張ろうよって」
text by
沢井史Fumi Sawai
photograph byFumi Sawai
posted2023/11/28 06:01
2年前から創志学園を率いる門馬監督。東海大相模高では春夏あわせて4度の甲子園優勝経験があり、来春のセンバツ出場も確定的に
昨秋の中国大会は準々決勝で光に5-6と1点差で破れた。昨年に続く1点差の屈辱は門馬監督の心に深く刻み込まれた。だから、今年もやるしかない。
「今日(帰ったら)練習しますよ。悔しいうちに練習しないと。人間、忘れるから。忘れる前にね。この球場で悔しい思いをした。あと1点が、あと1球が、あのプレーがっていうのを思いながらね。打てなかったこと、抑えられなかったことを思いながら練習しないと。今感じたことを今動かなさいと繋がっていかないんじゃないかと思って。途切れさせちゃいけないと。今日が重要なターニングポイントになると思います。僕がよくここまで来られたね、と感じてしまったら成長はできないですから」
自戒も込めたそのコメントには一層力がこもっていた。と、思ったら、門馬監督は表情を崩してこうも漏らした。
「西谷の言葉を借りると“勝って反省したかった”よね。やっぱり負けてしまうとね、後ろ向きになる。前向きにいきたい。その方が色んな言葉が生きるんですよ」
「基準を上げることを止めてしまうと成長しない」
6月の時点では“1割も浸透していなかった”教えは、今はどれくらいまで浸透したのかを尋ねると、門馬監督は苦笑いを浮かべてこう明かした。
「今も全然だよ。何割良くなったかと聞かれても、何割って定めたくないんだよね。常に毎日基準を上げようってやっているから。毎日のことを考えるとまだまだだね。基準を上げることを僕が止めてしまうと成長しないので、その先を目指せるように。そうしてあげることが彼らの成長に繋がるからね」。
10月の半ば、中国大会直前に実は大阪桐蔭と練習試合をする予定だった。だが、大阪大会の日程が雨天延期になった関係で試合は中止になったという。
「やっぱり大阪桐蔭と試合をしたいじゃない。強いチームがどう強いかを見ないと。美味しいものって実際に食べないと美味しいって分からないでしょ。それと一緒だよ」
新生・創志学園。秋の中国大会の頂点には立てなかったが、成長の最中にある。
タテジマからアイボリーのユニホームに替わっても、門馬監督の勝負への執念はむしろ熱を増す一方だ。
<「元横浜校・平田監督編」に続く>