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甲子園の風BACK NUMBER
強豪・東海大相模の監督がナゼ岡山に?…《センバツ確定》創志学園で“令和の学生”に思うこと「今を頑張らない子が多い。まずは今、頑張ろうよって」
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![沢井史](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/6/3/-/img_636ceed8b0ac77ba158de4c6caae32b716403.jpg)
沢井史Fumi Sawai
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posted2023/11/28 06:01
![強豪・東海大相模の監督がナゼ岡山に?…《センバツ確定》創志学園で“令和の学生”に思うこと「今を頑張らない子が多い。まずは今、頑張ろうよって」<Number Web> photograph by Fumi Sawai](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/7/a/700/img_7ad5c5bcf334c90fc0cca02a09a55145121252.jpg)
2年前から創志学園を率いる門馬監督。東海大相模高では春夏あわせて4度の甲子園優勝経験があり、来春のセンバツ出場も確定的に
「僕が目標としているのは渡辺(元智・前横浜高)監督と西谷(浩一・大阪桐蔭高監督)。向こうにはそんなことは思われていなくても、自分からすれば目指すべき目標であって、追いかけたい人物なんです。両名がされているのが春夏連覇。センバツを制して、そこにチャレンジできたのがあの年(21年)だったんです。
毎年、夏の大会前の最後に大阪桐蔭と練習試合をしているんですけれど、何年も練習試合をやってきて、あの年は初めて2連勝できたんですよ。今までにない思いも持って、最後の夏の大会に臨んだんですけれどね。
あの年の3年生は、入学をしてから一度も県大会で負けていなかったんです。最後の1敗は負けずに終わってしまって……。試合では負けていないけれど、コロナに負けた、というかね。残念という言葉では表せない無念さがありました」
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「体調不良」という理由で一旦表舞台を降りた格好となったが、これだけの実績がある門馬氏を高校野球界が放っておくわけがない。多くの強豪校から指導者としてのオファーが届く中、「熱意を感じた」という創志学園の創立者でもある大橋博理事長(現・総長)の誘いに心を打たれ、創志学園に赴任することになった。
神奈川から「縁もゆかりもなかった」岡山へ
家族を残し、単身で「全く降り立ったこともなかった」という岡山へ。岡山市内から車で約30分の赤磐市にあるグラウンドで選手たちと対面した。だが、いきなり直接指導には当たらず、外から練習を見学させてもらったという。
「ブルペンでも、後ろからジーッと見ていました。選手からしたら、どう思われているんだろうってなりますよね。色んな感情を抱くのは当然のこと。それでも、気づいたことをボソッと言っていました。でも、3日間だけの約束が、1時間くらいで“ごめん”って謝って自分の思いを選手らに話してしまいました」
門馬監督には、あるポリシーがあった。
それは、飾らずに、ありのままの言葉で全てを伝えることだ。ノックひとつでも選手たちと真正面から向き合い、何かを感じてもらいたい。自分の本気を、練習を積み重ねながら伝えられれば――。状況に応じて褒める、指摘することはあっても、余計なことは一切口にしなかった。
監督になって1年を迎える直前の今年の6月。門馬監督は当時のチームを「教えようとしていることが1割も浸透していない」と明かすと、こう続けた。