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金足農で起きた「部内暴力の発覚」「まさかの定員割れ」一変した野球部…吉田輝星の同期(現コーチ)「変わりました。オラオラ系は一人もいない」
posted2023/11/25 11:00
text by
中村計Kei Nakamura
photograph by
Kei Nakamura
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スタンドから後輩たちがプレーする姿を見下ろし、刺すように言った。
「ぜんぜん変わりましたよ。オラオラ系は一人もいないっス」
金足農業に、あの「逆転3ラン男」が帰ってきた。「カナノウ旋風」を巻き起こし、全国準優勝を果たした2018年夏、3回戦の横浜戦で8回裏にバックスクリーンへ起死回生の決勝弾を放った「6番・ファースト」の高橋佑輔である。
濃い眉と、鋭い眼光は、相変わらずだった。そして、「金農愛」も。左手首に巻かれたアップルウォッチの樹脂バンドは金農カラーの紫。
高橋は携帯カバーも紫、グミを買うときも紫、そして、大学時代はファーストミットも紫という根っからの金農戦士だ。
高橋はこの春、北海道は網走にある東農大生物産業学部を卒業し、講師として金農に赴任。同時に野球部のコーチに就いた。
近年の低迷、暴力問題も…金農に何が?
金足農業は甲子園で準優勝してからというもの、さっぱり勝てなくなってしまった。県大会で数度、3回戦にたどり着くのがやっとという状態で、ほとんどが1、2回戦敗退だった。加えて2022年夏には上級生の下級生に対する暴力が明らかになり、3カ月の対外試合禁止という厳しい処分も受けた。
その金農がこの秋、秋田大会を23年振りに制し、久々に東北大会まで駒を進めていた。
金農に何が起きたのか――。
コーチの秋本元輝に尋ねると、しばらく考えたあと、「高橋佑輔じゃないですか。あいつが帰って来てくれたことは、すごく大きかったと思いますよ」と言った。
高橋に話を聞いたのは、東北大会初戦、グリーンスタジアムよこてで行われた久慈(岩手)戦でのことだった。
ただ、その高橋は開口一番、明らかに物足りなそうに冒頭のように語ったのだった。
「よく言えばいい子たちなんでしょうけどね。でも、自分からしたら、向上心がないように見えてしまう」
金農も「定員割れ」の現実
エースの吉田輝星を筆頭に「オラオラ系」集団でもあった2018年夏のメンバーの目にそう見えてしまうのは、あるプロジェクトの影響も少なからずあったようだ。