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ジャパンカップを制するのはイクイノックスか、リバティアイランドか…歴史的一戦を前に感じる“恐ろしさ”「どちらかが負けてしまうのか」
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byKeiji Ishikawa/JIJI PRESS
posted2023/11/25 17:04
「世界最強」と称されるイクイノックスと、異次元の強さで牝馬三冠を達成したリバティアイランド。ジャパンカップで頂点に立つのはどちらか
一番反応が薄かったのは川田本人で、中内田師も、松崎助手も、片山助手も、声を出して驚いていた。特に、片山助手は、かつて池江泰郎厩舎に所属しており、デビュー前のディープの調教に乗ったことがあるだけに、その一致を知って、嬉しそうだった。
「チーム・リバティアイランド」の彼らがみな、リバティに、ルドルフやディープを追いかけていくだけのスケールを感じていることは間違いない。それを口に出さないのは、何が起きるかわからない競馬というスポーツの怖さを知り尽くしたプロだからだろう。
「どちらかが負けてしまうのか」と考えると…
これも「競馬の神様」の采配なのか、このジャパンカップで、リバティアイランドは1枠1番、イクイノックスは隣の1枠2番を引いた。両馬とも毎回好スタートを切るタイプではないだけに、どちらが先に行くのか読みづらいが、五分に出れば、おそらくイクイノックスのほうが前に行く。出足の速いタイトルホルダーが2枠3番から出るので、その後ろにできるスペースを確保することになるだろう。
「どちらが勝つのか」と考えるとワクワクするが、「どちらかが負けてしまうのか」と考えると、見るのが恐ろしくさえ感じられる。
3歳時のアーモンドアイと同じ枠を引いたリバティが勝って「歴史的女傑の再来」となるか。それとも、イクイノックスが勝って国内外の獲得賞金で歴代トップとなるか。ドウデュースの爆発力も、スターズオンアースの決め手も無視できない。
これだけの素質と実績を持つ馬たちが、一流厩舎で仕上げられ、一流騎手に操られるのだから、どう考えても凡戦にはならない。長く語り継がれる「歴史的一戦」の衝撃に備えつつ、ゲートが開くのを待ちたい。