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ジャパンカップを制するのはイクイノックスか、リバティアイランドか…歴史的一戦を前に感じる“恐ろしさ”「どちらかが負けてしまうのか」
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byKeiji Ishikawa/JIJI PRESS
posted2023/11/25 17:04
「世界最強」と称されるイクイノックスと、異次元の強さで牝馬三冠を達成したリバティアイランド。ジャパンカップで頂点に立つのはどちらか
返し馬の感じも、レースでの走りも、まだ完璧ではなかったにもかかわらず、圧勝してしまったのだ。
万全ではなかったのに秋華賞で力の違いを見せつけて牝馬三冠を制した馬として思い出されるのは、2018年のアーモンドアイである。アーモンドアイは、次走のジャパンカップを2分20秒6という驚異的なレコードで完勝している。
イクイノックスが58kgを背負うのに対し、リバティアイランドは4kg軽い54kgで出走できるアドバンテージは大きい。しかし、今回が対古馬初戦で、世界一の怪物をはじめ、強豪が揃った。これまで「負けられない戦い」をつづけてきた川田と中内田調教師は、「次はチャレンジャーです」と口を揃える。
「素晴らしいメンバーのなかで、リバティがどれだけ頑張ってくれるかですね。テンションが上がりすぎないよう気をつけて調整してきました。秋華賞のときより、体の張りも、動きも、ひとつ状態はよくなっていると思います」と中内田調教師。
追い切りに騎乗した川田の淡々とした口ぶりもいつもどおりだった。
「(秋華賞のときより)よくなりました。年長馬相手にしっかり胸を借りて臨みたいという思いです。世界一の馬も、ダービー馬も、昨年の勝ち馬もいますし、素晴らしいメンバーに挑むことになる。オークスの直線は、結果として、ジャパンカップに向かえるかどうかを確認する競馬になりましたので、急にジャパンカップを目指したわけではありません」
名手に共通する“30代後半での歴史的名馬との出会い”
川田は、今年デビュー20年目で、秋華賞の日に38歳になった。
一昨年はラヴズオンリーユーでブリーダーズカップフィリー&メアターフ、今年はウシュバテソーロでドバイワールドカップを日本人騎手として初めて制するなど「世界」で結果を出している。さらに、昨年、初めてリーディングジョッキーとなり、「勝率2割で3割打者に相当する」と言われる騎手界にあって、今年は勝率が3割を超えているなど、今まさにキャリアのピークにある。
岡部幸雄氏がシンボリルドルフで、そして武豊がディープインパクトで三冠を制したときは、どちらも36歳だった。このように、一流騎手は、30代後半の同じような時期に歴史的名馬に出会う――という話を、筆者は、川田と、中内田師、リバティを担当する松崎圭介調教助手、日々の調教に騎乗している片山裕也調教助手それぞれに伝えた。