プロ野球亭日乗BACK NUMBER
「初安打がホームラン!」阪神・森下翔太23歳が侍ジャパンでも猛アピール…井端弘和監督も高評価「勝負強さは魅力的、場面を変える力がある」
posted2023/11/19 14:10
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Getty Images
「いまの時期の(代表チームとしての)取り組みが10年後まで意味を持ってくる。そのスタートとなるのがこのアジアプロ野球チャンピオンシップなんです」
新生侍ジャパンを率いる井端弘和監督は、改めてこの戦いの意味を確認するようにこう語っていた。
3月のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の熱狂から半年余りが経過した東京ドーム。まだその余熱を楽しむかのように野球ファンは、連日、3万人前後がスタジアムを訪れ、日の丸のユニフォームに熱烈な声援を送っている。
ただグラウンドに立つ監督、スタッフ、選手たちにとっては、あの歓喜はもはや遠い過去の出来事でしかない。彼らが見ているのは10年後の未来の侍ジャパンへとつながる道なのである。
「しっかりとプロのリーグでも結果を残して、次もここ(侍ジャパン)に呼んでもらえるようにしたいと思っています」
第2戦の韓国戦で3安打をマークした試合後に、こう語ったのは小園海斗内野手(広島)だ。
小園は「困った時にそこに置けばいいと思える選手」
今回のチームは牧秀悟内野手(DeNA)を4番に据えて、そこを起点に打線を組んでいる。その中で井端監督をして「2番を打たせても、3番を打たせても、5番を打たせても、そこに適合したバッティングができる選手。打線のキーマンになる」と指名されているのが小園だった。
大会が始まりその小園に、まず監督が託したのは2番という役割で、この「2番・小園」に井端野球の目指すものが見えてくる。
3安打した韓国戦。
初回と3回に1番・岡林優希外野手(中日)が歩いていずれも無死一塁で小園が打席に入った。しかし「そう簡単に送ることはしない」(井端監督)という方針通りに、小園に出されたサインはヒッティング。小園も期待に応えて、いずれも右方向に安打を放って打線をつなげている。
「ランナーを置いたバッティングというのは、プロ野球で何年もレギュラーを張っている選手より上手いんじゃないかと思うので、困った時にそこに置けばいいと思える選手ですね」
第3戦のオーストラリア戦では今度は3番に座って初回の無死一、二塁で中前に先制タイムリー。3回の1死一塁ではきっちり一、二塁間を破る右前安打で二、三塁とチャンスを広げて捕逸と4番の万波中正外野手(日本ハム)の三塁打で追加点を奪った。
侍ジャパンが抱える“二遊間問題”とは…
「どの打順でも次に繋げればいいかなと思っているので、特に2番を意識することはないですが、自分は(右打ちが)得意なので、持ち味を活かせたかなと思う」
こう語る小園に井端監督が特に注目するのは、侍ジャパンが抱える“二遊間問題”という背景もあるだろう。