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「初安打がホームラン!」阪神・森下翔太23歳が侍ジャパンでも猛アピール…井端弘和監督も高評価「勝負強さは魅力的、場面を変える力がある」
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byGetty Images
posted2023/11/19 14:10
アジアプロ野球チャンピオンシップ第1戦の台湾戦で値千金のホームランを放った森下翔太(23歳)
その上、課題と言われる打撃でも台湾戦ではチームが打ちあぐんだ台湾の先発右腕・グーリン・ルイヤン投手から初安打となる二塁打を6回にマーク。さらには9回のタイムリー安打を含めて3安打を放って、韓国戦でもきっちり7回に中前に弾き返している。
来季は巨人・阿部慎之助監督の方針で遊撃での起用が決まっている。ただ本職のショートだけでなく三塁、二塁と内野のどこでも水準以上に守れるのは、ベンチ入り人数が限られる国際大会では貴重な存在だ。その上で打撃に磨きがかかれば、小園と共にそれこそポスト源田の有力候補にも浮上してくる可能性も出てきそうだ。
バットで猛アピールの森下翔太「バットを短く持って」
そしてこの二遊間プレーヤーとは別に、今大会ではバットで猛アピールしているのが森下翔太外野手(阪神)だ。
「あのときバットを短く持っていたの……見ていましたか?」
井端監督からこう聞かれたのは、台湾戦の7回に森下が先制ホーマーを放った場面だった。
恥ずかしながら気づいてはいない。
そこで森下に聞いた。
「ハイ。あの時はちょっと短く持っていましたね。自分はシーズン中も必要に応じてやっているんですけど、あの場面は第1打席と第2打席でちょっと振れていない感覚があったので短く持ったんです」
台湾先発のルイヤンは150kmのストレートにカーブ、フォークを操り、コントロールがいいので四球から崩れることがなかった。「世界で通用する投手だと思う」と井端監督も絶賛した好投手で、侍打線は6回1死で門脇が二塁打を放つまで、完全ペースで抑え込まれていた。
森下も第1打席は149kmに詰まった遊飛。第2打席もフルカウントから150kmのストレートに押し込まれてライトへのファウルフライに倒れている。
そして7回の第3打席だ。森下が放った本塁打は少し内角寄り高めの150kmのストレートを打ったものだった。バットをほんの少し短く持って、コンパクトに振り抜いた。
「このユニフォームを着て初安打がホームラン! 嬉しいの一言です。ここで終わらずに最後までやり切りたいですね」
この試合でも9回には追加点の口火となる一、二塁間を破る安打を放つと、韓国戦でも2安打。実戦的な打撃が目を引く。