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「ボミさんに憧れてゴルフを始めた」異例の引退サプライズ…韓国人イ・ボミ(35歳)はなぜ日本で愛された? 女子ゴルフ人気低迷の危機を救った“笑顔”
posted2023/11/17 06:00
text by
キム・ミョンウKim Myung Wook
photograph by
Wataru Murakami
先日、韓国人プロゴルファーのイ・ボミ(35歳)が13年間の日本ツアー生活にピリオドを打った。引退試合となった国内女子ツアー「NOBUTA GROUPマスターズGCレディース」の初日1番ホールには、その勇姿を一目見ようと多くのギャラリーとファンが会場に集まっていた。
応援グッズとして販売されていたピンクのTシャツやマフラータオルには「イ・ボミ ありがとう」のメッセージがプリントされ、ファンたちはそれを着用して応援。イ・ボミは、上田桃子と小祝さくらと同組でスタートした瞬間から感極まって涙を流していたが、様々な思いが込み上げるのはよく分かった。
日本ツアーを席巻した“強すぎる韓国勢”
2011年の初参戦からツアー通算21勝。2015、16年には賞金女王に輝き、男女ツアー合わせて初めて年間獲得賞金2億円を超えるなど日本ツアーで数々の記録を残した。
イ・ボミが日本ツアーに参戦した当時、日本人選手で注目されていたのは横峯さくらや有村智恵といった面々だった。すでに宮里藍は米ツアーを主戦場にしており、強い輝きを放つ新たなスター選手を待ちわびている状況でもあった。
同時に李知姫や全美貞と長く日本で活躍してきた韓国人選手だけでなく、2010年には参戦初年度のアン・ソンジュがいきなり賞金女王をかっさらった。そこに韓国ツアー賞金女王のイ・ボミも加わり、1年目からシードを獲得、2年目の2012年に初優勝を含む3勝で賞金ランキング2位に食い込み一気に知名度を上げた。
日本人選手の対抗馬として森田理香子(2013年賞金女王)らが期待されたが、“ヒール”の雰囲気が漂うほど韓国勢の強さが際立ったことで、「女子ツアー人気はこのままでは低迷していく」といった声も少なくなかった。その流れを変えたのがイ・ボミの人柄だった。