フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
「スケートをやめちゃいそうな感じがあった」天才少女と呼ばれたスケーターの告白…1年休養から復帰の樋口新葉「納得して終われたらいい」
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byAkiko Tamura
posted2023/11/15 11:00
GPフランス杯にて約1年ぶりの復帰となった樋口新葉。ここまでの道のりと本音を明かした
本人の声が…? 今季プログラムの秘密
今季はプログラムに新しい試みも仕込んだ。SP、フリーともに音楽に本人の声が入っているのだ。振付師シェイリーン・ボーンの夫、音楽ミックサーでもあるトゥロック氏のアイディアだったのだという。元々歌うことが好きだったのだろうか。そう聞くと「皆さんと同じレベルで歌うのは好きなんですけど、人に聞かせられるような歌ではないです」と笑う。でも「すごく面白いかなと思って」挑戦したのだという。
SPは実際は歌ではなく、息を吸う呼吸の音のみ。フリーでは最後の部分のコーラスだという。次の試合、NHK杯の時にはぜひ注意して聞いてみて欲しい。
フィギュアスケーターが向き合う“ケガとの戦い”
残念ながらフィギュアスケートも、他のスポーツと同じように負傷はついて回る。常に自分の限界に挑戦するトップアスリートの宿命でもある。今シーズンはGPシリーズだけでも紀平梨花、三浦&木原ペア、そして三原舞依が怪我を理由に欠場した。
だがその一方では、山本草太、佐藤駿、鍵山優真と、過去に大きな怪我で苦しんだ選手たちが復帰して表彰台に上がっている。
「自分でも戻ってこれると思っていなかったので、今も不思議な感覚はある。でも戻ってくると、試合も緊張も不安な気持ちも含めて楽しいなと思いました。やっぱりこれで終わっちゃうのはもったいないなというのが、一番の理由。納得して最後は終われたらいいなと思います」
樋口はすっきりとした表情でそう話を結んだ。今現在怪我で休養している選手たちも、彼女のように心も体もリフレッシュして元気になって戻ってきて欲しい。