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「スケートをやめちゃいそうな感じがあった」天才少女と呼ばれたスケーターの告白…1年休養から復帰の樋口新葉「納得して終われたらいい」 

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田村明子

田村明子Akiko Tamura

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posted2023/11/15 11:00

「スケートをやめちゃいそうな感じがあった」天才少女と呼ばれたスケーターの告白…1年休養から復帰の樋口新葉「納得して終われたらいい」<Number Web> photograph by Akiko Tamura

GPフランス杯にて約1年ぶりの復帰となった樋口新葉。ここまでの道のりと本音を明かした

「昨年の10月、11月くらいまでは、色んなことを考えられない期間がありました。自分で休もうという話になったというより、周りの人に一回休憩したらと言ってもらえて、スケートが好きになれる状態でお休みしたらとアドバイスをもらった。このままだとスケートやりたくないと思ってやめちゃいそうな感じがあったので……それはやっぱり今までずっとスケートやってきたのにもったいないし、周りの人にも申し訳ない気持ちがあった。このままボロボロで適当に流して終わっちゃうよりも、自分で納得してこういうことがしたいと思って滑れた方がやりがいがあると思ったので」

「小さいことはあまり気にしなくなった」

 樋口はフランス杯ではSP6位、フリー4位、総合5位となった。表彰台こそ逃したものの、身体もよく動いてジャンプの高さも戻ってきている。

「今回は練習をここまでしたというのがあったので、それなりの自信で滑ることができた。緊張していても、緊張しているのを受け入れることができました」

 思い切って1年間休養したことで、心も体もリフレッシュできたのだという。またスケートに向き合う気持ちにも変化が出てきた。

「前は本当に結果……もちろん結果も大事なんですけど、自分の今のレベルと、どういう爪痕を残したいとか、どういうことをやったらいいのかなということを考えながら試合に臨んでいるので、ミスをしても今の自分を受け入れる。それをどういうふうにしていく、という全部経過になっていて、小さいことをあまり気にしなくなったかと思います」

休養中にはホノルルマラソンにも挑戦

 休養中には、これまでやったことのなかったことも試してみた。どんなことが一番楽しかったのだろうか。

「学校に行って、いろんなスケートに関係ない人たちと話して、まったくスケートのことを考えないで過ごす時間が多かったので、そこでやっと普通の学生と同じような勉強だったり、話ができたこと」

 また友人と、昨年の12月にはホノルルマラソンにも挑戦したのだという。

「マラソンを走った理由は、自分が落ち込んでいたこともあるし、休んでいた期間に何か変えないとと思っていて、ちょうど(大学)4年だったので見える世界が変わることがしたいなと思って、練習とかたくさんした。一つのことに向けて頑張るというのは、普段の生活ではできないことだったので、これができたら何でもできるなというほどしんどかったです」と笑う。記録を追っていたわけではないので、後半は歩いて7時間かけて完走した。

【次ページ】 フィギュアスケーターが向き合う“ケガとの戦い”

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