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“紙一重のJ1残留力”湘南ベルマーレは降格を回避できるのか?「きれいじゃなくても…」15戦未勝利の苦しみを味わった選手たちのリアルな声
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byEtsuo Hara/Getty Images
posted2023/11/10 17:02
ここまでチームトップの11ゴールをあげている大橋祐紀(27歳)。10月28日のヴィッセル神戸戦でも貴重な先制点をマークした
3バックの中央を担うキム・ミンテは、「クオリティのある選手が多く、一瞬で決められるチーム」と名古屋を分析する。J1の4クラブに在籍してきた29歳の韓国人CBは、7月に鹿島アントラーズから期限付き移籍で加入した。
「スペースをうまく使ってくるので、相手のFWを自分のタイミングで走らせないラインコントロールが必要。どれだけ集中してやれるのかだと思います」
3バックの左サイドを担う大野和成も、「90分を通してスキを見せないこと」をポイントにあげる。2012年と13年にアルビレックス新潟からの期限付き移籍で在籍した彼は、18年に完全移籍で再加入した。J1残留を果たしてきた戦いの“核心”を知るひとりだ。
「いまこの段階で、新しいことはできない。これまでやってきたことを続けることです。そうやって29節のセレッソ大阪戦、30節の京都戦に勝ってきたし、前節の神戸戦も引き分けた。守備でしっかり戻る。相手に寄せる。そういったことをサボらずにやり続けて、漏れを作らないようにしたい」
2勝1分と勝点を積み上げた直近の3試合に、MF阿部浩之は先発で出場している。前節のヴィッセル神戸戦では、大橋祐紀の先制点をアシストした。
「ここからトレーニングで大幅な上積みをすることはできないので、細部にどれだけこだわれるか。やってきたことの精度を上げる、みんなの意識を統一する、といったことが大事になる」
ここまでチームトップの11ゴールをあげている大橋は、「絶対にJ1に残らなきゃいけない。そこはマストだと思います」と言う。プロ5年目の27歳は、町野が海外移籍した7月以降に7ゴールをあげている。攻撃を力強く牽引してきた。
「名古屋は守備が固いイメージがありますが、きれいじゃなくてもいい、泥臭くていいので、最後にネットを揺らせるようなプレーがしたいです」
湘南は昨年「ターゲット35」という計画を発表した。22年度は25億円弱だった売上を35億円規模まで拡げることで、J1優勝のシャーレを掲げるというものだ。増収へつながる施策は複数あり、そのなかには新スタジアム建設に伴う入場料収入増も含まれている。5年後、10年後の未来を明るく照らすためにも、J1に踏みとどまらなければならない。J1での歩みを、6年で終わらせるわけにはいかないのだ。