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“紙一重のJ1残留力”湘南ベルマーレは降格を回避できるのか?「きれいじゃなくても…」15戦未勝利の苦しみを味わった選手たちのリアルな声
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byEtsuo Hara/Getty Images
posted2023/11/10 17:02
ここまでチームトップの11ゴールをあげている大橋祐紀(27歳)。10月28日のヴィッセル神戸戦でも貴重な先制点をマークした
湘南は6節から8戦負けなしクラブ記録を作るが、引き分けと1点差負けが多く、勝点を伸ばしきれない。浮嶋監督は8月末付で退任し、山口智コーチが昇格する。新監督のもとで残留争いを繰り広げ、16位でJ1に生き残った。
真っ向勝負ゆえの“15戦未勝利”
2018年以降の結果だけを辿れば、J1残留争いの常連となっている。それでも、22年シーズンは「5位以内」という目標を公言した。坂本紘司スポーツダイレクター(現代表取締役社長)は「クラブ全体がマインドチェンジをして、いまの立ち位置じゃない、もっと高いところを目指す」と話した。
その22年も、J1残留を決めたのは最終節だった。一方で、19年以来となるシーズン10勝を記録し、12位でフィニッシュした。18年以降では最高位である。チームが土台としてきた走力とハードワークを押し出しながら、シーズン終盤にかけて勝負強さを身につけていった。
サッカーをバージョンアップさせていくなかで、加入2年目の町野修斗が1998年の呂比須ワグナー以来となるJ1での2ケタ得点を記録した。カタールW杯日本代表に選出された彼自身の成長はもちろん、チームとしてゴールを意識したからこその覚醒だったと言える。川崎フロンターレ相手にシーズンダブルを達成したのは、チームの成長が結果として現われたものだっただろう。
J1在籍6シーズン目となった23年は、22年同様に5位以内をターゲットとした。22年の戦いをベースに上位チームにも真っ向勝負を挑んでいったが、自分たちの良さを出し切れない試合が続く。7節から21節にかけて、15試合勝ち無しという厳しい時間を過ごした。
J1残留をターゲットとするなら、真っ向勝負を挑まなくていい。相手の良さを消しながら、少ない好機を生かそうとすればいい。
しかし、J1での戦いが6年目に突入している湘南にとって、J1残留はもはや目標として物足りない。J1でタイトルを争うクラブへステップアップしていくためにも、目線を上げていくべきなのだ。
運命を決める残り3試合「新しいことはできない」
残り3試合の相手は名古屋グランパス、横浜FC、FC東京だ。11月11日にホームで対戦する名古屋とは過去7試合連続で、ホームでは5試合連続で勝利がない。一方で直近2試合は引き分けており、ネガティブなイメージを抱かせる相手でもない。