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“2軍”と言われたアジア大会で西川潤は、PSGのイ・ガンインと大学生の戦友から何を得たか「ハッとさせられた」〈パリ世代インタビュー〉
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byAtsushi Iio
posted2023/11/09 11:06
サガン鳥栖で奮闘する西川潤。パリ五輪世代としての意気込み、ここまでのキャリアについて語ってもらった
左ウイングの佐藤恵允とのコンビネーションで北朝鮮の守備陣を切り裂き、チャンスを何度も演出していく。
ハイライトは1-1で迎えた75分。自陣からドリブルで運んでペナルティエリア付近にいる佐藤にボールを預け、フリーランニングでゴール前に飛び出す。佐藤からリターンを受けると、相手GKに倒されて値千金のPKを獲得するのだ。
「前半は4-3-3のインサイドハーフだったんですけど、後半は4-2-3-1のトップ下に変わったので、より前でボールを受けられるようになって。ボールを出して止まらずに動き続けるっていう、鳥栖で取り組んでいることを出せて、PK奪取に繋がった。PKも蹴りたかったんですけど、起き上がったときには、もうマツ(松村優太)がボールを持っていて、こりゃダメだなって(笑)。初戦でアシストはしたけど、得点はまだなかったので蹴りたかったんですけどね。マツが決めてくれたので良かったです」
日韓戦での逆転負けに感じた課題とは
香港との準決勝はターンオーバーが採用されたため“休養”となったが、韓国との決勝でスタメンに返り咲く。
韓国の選手たちは金メダルを獲得すれば兵役が免除となるため、目の色が違った。ただでさえ、大会のレギュレーション通り、24歳以下のチームにオーバーエイジの選手3人を加えて参加しているのだ。日本は筑波大1年生の内野航太郎のゴールで先制したが、韓国との力の差は歴然で、逆転負けを喫した。
「即席のチームでしたけど、すごくまとまって、いいチームになっただけに優勝できなくて残念だったし、悔しいです。ああいう強い思いを持ったチームとやるのは初めてで、そういう相手に対して自分が何を示せたのか。タイトに来る相手に対してうまくボールを受けられなかったり、前を向けても良さを出し切れなかったのは、今後の課題です」
イ・ガンイン相手に感じた「凄さと悔しさ」
なかでも刺激となったのが、パリ・サンジェルマンに所属する、1歳上のイ・ガンインである。桐光学園高時代にドイツのレバークーゼンの練習に参加し、プロ入りの際にはFCバルセロナも獲得に興味を示したと言われている西川だけに、自身が目指した世界に足を踏み入れている選手に対して、思うところがないはずがない。