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「MVPですかね? すべて、かっさらいたい」浦和レッズ・早川隼平17歳の野望《ルヴァンカップ・ニューヒーロー賞を最年少で受賞!》
posted2023/11/02 06:00
text by
杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph by
Takuya Sugiyama
2002年は坪井慶介、2003年は田中達也、2004年は長谷部誠、2011年は原口元気、2021年は鈴木彩艶――。YBCルヴァンカップのニューヒーロー賞に輝いた先人たちの名前をあらためて確認し、ジュニアユース年代から浦和レッズ一筋で育ってきた早川隼平は、受賞の喜びを噛み締めながら決意を口にした。
「僕も歴代受賞者の一員になれて、うれしいです。レッズの先輩たちのキャリアを見れば、分かるようにどんどん羽ばたいて行った人ばかり。自分もそうならないといけないと、いま強く思っています。これまで以上に責任感を持ち、もっと活躍していきたいです」
「最年少記録」に思わず苦笑
現役高校生としては大会史上3人目。最も若い17歳11カ月での受賞である。冷静に自らを客観視する早川は『最年少記録』という言葉を聞くと、思わず苦笑した。今年の9月10日、ルヴァンカップ準々決勝第2戦のガンバ大阪戦で、原口元気の記録を超えてクラブ史上最年少でA契約が可能な450分(出場時間)に到達したときと同じ反応だった。
「僕は12月生まれなので、そうなったのかなと。ニューヒーロー賞も、去年は僕と同じ年齢の時期に北野颯太選手(セレッソ大阪)が受賞していますから」
早川にとって『17歳』の枕詞は、記号の一つに過ぎないのだろう。8月にプロ契約を結ぶ前から「ピッチに入れば、年齢は関係ない」と言い続けている。2種登録選手として、4月5日にルヴァンカップの川崎フロンターレ戦で公式戦デビューを果たしたときから、プロ選手然としていた。アタッカーとしてスコアを動かせなかったことを反省し、試合後は険しい表情だった。
「勝たなければいけないゲームでした(スコアは0−0)。試合に出るからには責任が伴います」
「僕に何か飛び抜けたものがあるかと言えば…」
アウェーの等々力陸上競技場では76分から出場。あの夜のことは、心理状態からピッチでのプレーまでほとんど覚えている。スペースへの動き出しが少ない味方の攻撃陣を見て、「チームのために何ができるのか」と自らに問いかけた。力が入り、空回りしそうな状況になるたびに自分の原点を思い返してきた。