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山本由伸、衝撃の“2試合12失点”はなぜ起きた?「狙い球を絞って…」「クセを見破ったのか」ロッテコーチが明かしていた「攻略の糸口」
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph byHideki Sugiyama
posted2023/10/30 11:00
阪神戦でまさかのKOで降板となった山本由伸。一体、何が起きていたのか
「ランナーがどんどん進んでいく。いやらしさというか、ただじゃ終わらないという怖さがある。会心のヒットゼロで1点最初に取られてしまいましたし。そういったところですよね」
ではなぜ、阪神打線はフォークにバットが空回りすることなく、ストレートを捉えられていたのか。実はそのカギが、山本の前回登板だったロッテとのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ初戦にあった。
ロッテが5得点、村田修一打撃コーチは…
10月18日、京セラドーム。公式戦では18日ぶりの登板となった山本の立ち上がりにロッテ打線が襲いかかった。先頭打者の荻野貴司がストレートを狙い打ち、山本のグラブを弾く内野安打を放ったことをきっかけに、1死二、三塁とチャンスを作る。4番のポランコが初球のストレートを狙いすましたかのように捉えて右中間後方への二塁打を放ち2点を先制。さらに安田尚憲、岡大海がいずれも鈍い当たりながらも連打で塁を埋め、その後内野ゴロの間に3点目を奪い取ったのだ。
山本は2回以降立ち直ったものの、6回、7回にも失点し結果的に5失点。オリックス打線の反攻で結果的にロッテは敗れたが、試合後にロッテ・村田修一打撃コーチはその表情に会心の手応えを滲ませていた。
想像にお任せします
「マル秘事情は教えられないんですけど、山本は打ててなかったので策をしっかり練っていこうよ、と。初回の攻撃はハマったと思いますし、その辺がうまく機能してああいう形になったのはすごく良かった。追い込まれる前に狙い球を絞って……まあ諸事情があります。皆さんの想像にお任せしますけど。策を練ったのがうまくハマってくれましたね」
金子誠・戦略コーチは「(山本には)今年何回もやられたので、アナリストと話をして、ね」とニヤリ。ロッテはCSファイナル前に分析担当であるアナリストを含めて“由伸対策”を徹底。投球データや配球に加えて映像分析も再度行い、攻略の糸口を掴んでいたという。
低めを全部捨ててきたなと
オリックスの厚澤和幸・投手コーチはロッテ戦後、「(策を練ってきたのは)すぐわかったよ。低めを全部捨ててきたなと。フォークを決まらなくさせた。球種ではなくゾーンで絞ってきたのかな」と話した。高低のゾーンで狙い球を絞ってきた、と分析したのはおそらく、ロッテの打者が低めのフォークボールに対し全くバットが動かない場面が見受けられたからだろう。
違和感のある見逃し方
こんな見方もある。試合のデータを見たある球団のスコアラーの見立てだ。