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「ホンマに初球から行きよった」阪神・岡田監督が明かした山本由伸攻略のカギ…佐藤輝明の盗塁と昭和の打撃「真っ直ぐ打てしか言うてないよ」
posted2023/10/29 13:40
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Nanae Suzuki
完勝の日本シリーズ初戦。阪神・岡田彰布監督の口は滑らかだった。
「みんなすごい、すごい言うから、しゃあないからいうただけやんか」
試合後の囲み取材。10月23日の練習後に、初戦先発が確実なオリックスの絶対エース・山本由伸投手について聞かれたときに、指揮官は「そんなええと思うてないよ」と煙に巻く発言をした理由をこう説明した。ただ冷静に見ればクライマックスシリーズのファイナルステージでも、打線はなかなか繋がらずに点を取るのにかなり苦労している。
「2点取れればいいかなと思っていたけどな、1巡目をみても……」
実際にマウンドの山本を見たとき、そう簡単に打ち崩せないと覚悟はしたはずだ。
だからベンチが動いて活路を開く。
山本攻略劇の号砲は、まさかの佐藤輝明内野手の二盗だった。
5回の先頭打者として打席に立った佐藤が中前安打。そして続くシェルドン・ノイジー外野手への初球にスタンドがどよめいた。
いきなり走ったのだ。
「中野(拓夢内野手)がその前にアウトになっているから、あれで(盗塁は)こないと思うやんか。あれ(佐藤)は初球からいけるからな。思い切りがいいからな。走塁っていうか、盗塁に関してはな。ホンマに初球から行きよった」
そう語るように1回にも岡田監督は動いている。
佐藤の盗塁が、山本由伸の判断を狂わせた?
1死一塁。打席の森下翔太外野手が追い込まれると、一塁走者の中野に盗塁のサインを出した。しかし盗塁は失敗に終わり、しかも打席の森下がストライクを見逃したために三振ゲッツーとなってチャンスを潰した。阪神ベンチにとっては何とも手痛い結果となったのだが、そのミスを逆手にとる。