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山本由伸、衝撃の“2試合12失点”はなぜ起きた?「狙い球を絞って…」「クセを見破ったのか」ロッテコーチが明かしていた「攻略の糸口」 

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佐藤春佳

佐藤春佳Haruka Sato

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photograph byHideki Sugiyama

posted2023/10/30 11:00

山本由伸、衝撃の“2試合12失点”はなぜ起きた?「狙い球を絞って…」「クセを見破ったのか」ロッテコーチが明かしていた「攻略の糸口」<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

阪神戦でまさかのKOで降板となった山本由伸。一体、何が起きていたのか

「ロッテの打者が所々で、違和感のある低めの見逃し方をしている。可能性として最も高いのは、山本投手がフォークを投じる際に、無意識にクセが出ているということ。特にセットポジションで顕著に出ていたのではないかと思います。ただし、そのクセは全ての場面で出るようなものではなく、打者も分かる人が限られるような微妙なところです。それでも短期決戦ならばそこに賭けてチームとして徹底しなければあのクラスの投手は崩せないということ。山本投手が球界最高峰というのは揺るぎないですから」

先制口撃は“効いていた”

 なくて七癖――。それほど微妙なクセを阪神もはっきりと見極めていたかは定かではないが、前回登板で今までにないような点の取られ方をしていれば山本自身にも迷いが生じる。5回の猛攻の契機となった佐藤輝の盗塁は、初球のフォークボールに対して狙いすましてスタートを切ったもの。右腕の心を足でも揺さぶり、疑心暗鬼となったところで阪神が一気呵成に畳みかけた。山本はフォーク以外の誘い球であるカーブが上手く決まらず、6回の渡邉諒の打席で珍しくスライダーも投じている。

 もう一つ、阪神・岡田監督が試合前から仕掛けていた“口撃”の影響もあるだろう。日本シリーズに向けた23日のチーム練習後、「俺、そんなエエ(投手)と思てない。ええピッチャーやったら、(CSで)そんな取られへんやろ、初回から3点も」と話し、さらに「真っすぐが一番の武器やねんから、それに合わして打つ、いうことやろ」と直球狙いも明言。関西のテレビや新聞で大きく報じられたその言葉は、おそらく山本や若月の意識にもあっただろう。4冠エースといえども、「何か相手に掴まれているのでは」と迷いが出れば、その時点で心理戦は成功なのだ。

できる子なんで、やってくれると思います

 ボディーブローのように効いたロッテの“由伸攻略”と、畳み掛けた岡田監督の心理戦。オリックス・平井正史投手コーチはその影響について「別にそう思わないですけど……。それは色々とね。言えることじゃないんで」とだけ話す。日本シリーズの展開次第ではあるが、次回登板が濃厚な第6戦(11月4日)までに“トラウマ”は払拭できるのか――。「それはするし、しなきゃいけない。できる子なんで、やってくれると思います」と同コーチ。球界エースの「修正力」が、日本シリーズの行方の命運を握っている。

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