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山本由伸、衝撃の“2試合12失点”はなぜ起きた?「狙い球を絞って…」「クセを見破ったのか」ロッテコーチが明かしていた「攻略の糸口」
posted2023/10/30 11:00
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph by
Hideki Sugiyama
日本シリーズ初戦でまさかの6回途中7失点KO。交代を告げられたオリックスのエース・山本由伸は、戻ってきたベンチで腰に手を当てたまましばらく呆然と立ち尽くした。
「立ち上がりはいい調子で入れたんですが、途中ちょっと失点してしまった。こういう大事な試合なんで、この負けはすごく大きいなと感じています」
立ち上がりは上々だった
試合後は気丈に話して自ら責任を負ったが、その瞳に力はなかった。立ち上がりは上々で、2回にはノイジーの打席でストレートが自己最速タイの159kmを計測。4回まで48球で阪神打線を2安打無失点に抑えていた。5回、先頭打者の佐藤輝明にセンター前ヒットを許し、直後に盗塁を決められたことをきっかけに4失点と崩れるのだが、調子自体は決して悪くなかっただけに、エースは大量失点の理由を自分でも掴みきれていないような、複雑な表情を浮かべていた。
「分析なんか、そんなしてないよ。してないしてない。そんなん、そこまで分析して打てるもん違うよ。シンプルに真っすぐをと、そういうことやんか。まっすぐ打て、しか言うてないよ。だってフォークの打ち方なんか教えてないもん。そやろ」
試合後、阪神の岡田彰布監督は独特の口調で“由伸攻略”について語っている。シンプルに「フォークを見極め、ストレートを狙い打つ」という指示を徹底したと説明したが、老獪な指揮官の言葉を額面通り受け取るのは早計だろう。
ただじゃ終わらないという怖さ
実際、山本の女房役をつとめた若月健矢は試合後、「そういうことではないかな、と……」と首を傾げ、阪神打線の一気呵成の攻撃についてこんな言葉を残している。