昨年秋から今春にかけての速球のすさまじさは、ストライクにも打者が飛びのくほど。スライダー、ツーシーム、チェンジアップの動きにも「怖さ」があり、久しぶりの剛腕サウスポー出現と期待が高まった。

　体さえピンシャンとしてくれば、あの剛球はよみがえる。打者にとっては、「粗さ」も打ちにくさになる。

　4位で杉山遙希（横浜高）まで獲得できて、左腕補強は想定以上だった。

　常勝チームのエースを長く担った経験値とそのプレッシャーに耐えた心身の強さ。逆に、そのプレッシャーから解放されたのびのび感。ボディバランス抜群のフォームから、実戦、実戦であまり出来なかった体力強化がなされれば、「今永二世」が十分期待できる投球センスを感じている。

　今季34歳で首位打者獲得の鉄人・宮崎敏郎三塁手の後釜をイメージして、3位では森田大翔（履正社高）が獲れた。

　2600回転の速球、スライダーを持つ岡野佑大投手（Honda）も獲れて、チーム盗塁数33（12球団No.1は楽天の102盗塁）の「機動力」に、50m5秒台で強肩の平田大樹外野手（瀬田工高）までも6位で。細身でも全身をしならせたようなスイングから、ちょっと驚くような打球を飛ばす。

競合敗れるも…ロッテは繰り上げ1位に失望感ナシ

【千葉ロッテ　2023年ひとりドラフト指名選手】

✕　細野晴希　21歳　投手　東洋大　180cm85kg　左投左打（横浜DeNAとの抽選に敗れる）
1位　古謝樹　22歳　投手　桐蔭横浜大　181cm76kg　左投左打
2位　松本凌人　21歳　投手　名城大　183cm89kg　右投右打
3位　東松快征　18歳　投手　享栄高　177cm83kg  左投左打
4位　仁田陽翔　18歳　投手　仙台育英高　175cm74kg  左投左打
5位　寺地隆成　18歳　捕手　明徳義塾高　177cm77kg  右投左打
6位　早坂響　18歳　投手　幕張総合高　176cm70kg  右投右打

【千葉ロッテ　総評】

　横浜DeNAとの競合に敗れて、細野晴希（東洋大）は逸したが、繰り上げ1位・古謝樹（桐蔭横浜大）になんら失望感はない。

　もともと互角と評価していた学生サウスポー2人。むしろ会場のテーブルでは、3球団以上の競合じゃなかったことを喜んだほどだ。

　半身の姿勢が長く作れて、体の左右が一気に切り替えられるメカニズムは、高い柔軟性や体幹の強さを要求されて、なかなかいない。体の正面を打者に早く見せてしまったほうが、楽な投げ方になるからだ。

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