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「鼻が曲がっちゃったけど、まぁいっか」ラグビーW杯“死闘”を制した“南アの鉄人”が世界一になるために日本を選んだ理由…来日6年目「箸は完璧」
text by
藤原志織Shiori Fujiwara
photograph byKiichi Matsumoto
posted2023/10/17 11:03
ラグビーW杯優勝候補フランスとの死闘を制した南アフリカ。日本でもお馴染みのクワッガ・スミスは、途中出場ながら“いつも通り”の存在感を発揮した
「新しい環境にチャレンジしたいと考えていたときに、ヤマハからオファーをもらいました。当時からヤマハはスクラムという大きな武器を持っていましたが、南アフリカもセットピースには特に力を入れているので、それを知ったときは本当に嬉しかったんです。実際、情熱を持って激しいトレーニングを積んでいるチームの姿を見て、ここでプレーできるのは自分にとってもすごく幸せなことだと思いました」
2019年にはW杯日本大会を戦い、母国の優勝に貢献。今年9月に開幕したW杯フランス大会でも、大会連覇と史上最多4度目のタイトル獲得を狙う誇り高きチームの一員として、奮闘と活躍を続けている。
堀川HC「毎試合、尊敬しています」
昨シーズンから、レヴズでキャプテンの役目も担うクワッガの定位置はフランカー、もしくはナンバーエイト。世界の潮流として、バックローのポジションを仕事場にしているのはフィジカルに恵まれた重量級の選手が多い。そのなかにあって、クワッガはひときわ小さい。180センチ、95キロというプロフィールは、どのナショナルチームを見渡しても異色だ。
だが、グラウンドに立ち楕円球をめぐる戦いに臨む姿をひと目見れば、身長と体重は“ただの数字”にすぎないことがよく分かる。昨シーズンまでレヴズのヘッドコーチを務めた堀川隆延も、称賛の言葉を送る。
「素晴らしいという一言に尽きます。それ以外の言葉が思いつかないし、あの体格で通用するという意味でも日本のラグビー界に夢を与え続けてくれている。毎試合、尊敬しています」
クワッガのワークレートはずば抜けて高い。来日以降、毎年リーグのベスト15に選出されていることがその証だ。共にレヴズを牽引するバイスキャプテンの庄司拓馬は言う。