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ラグビー界で流布するアイルランドの“呪い”って知ってる?…世界ランク1位の「超強豪国」がベスト8で“0勝8敗”のナゼ《今回もW杯で敗戦》

posted2023/10/17 17:16

 
ラグビー界で流布するアイルランドの“呪い”って知ってる?…世界ランク1位の「超強豪国」がベスト8で“0勝8敗”のナゼ《今回もW杯で敗戦》<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

今大会での引退を発表していたアイルランドSOのジョニー・セクストン。それだけに懸ける想いも大きかったが… 

text by

大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

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Kiichi Matsumoto

 今回もまた、勝利の女神はエメラルドグリーンのジャージーに微笑まなかった。

 ラグビーワールドカップ2023。世界ランク1位で大会に臨んだアイルランドは、プール戦を全勝で通過しながら、準々決勝でニュージーランドに24-28で敗れ、トーナメントから姿を消してしまったのだ。

アイルランドが世界ランク1位で挑んだW杯

 4年前の日本大会でもアイルランドは開幕時点の世界ランク1位。優勝候補の一角にあげられていたが、プール戦で開幕時の世界ランク10位だった日本に敗れ、A組2位。準々決勝では大会3連覇を目指していたニュージーランド(NZ)に14-46と粉砕されてしまった。

 だが今回はショックの度合いが違う。プール戦では前回王者で連覇を狙う南アフリカを息詰まる熱戦の末に13-8で破り、欧州5カ国対抗の時代からのライバル、スコットランドにも36-14と完勝して、B組1位で乗り込んだ準々決勝。対戦するNZには昨年7月に敵地での3連戦に2勝1敗と勝ち越して苦手意識は消し去った。しかもその初戦で敗れて以降は、今年の6カ国対抗全勝優勝を含めテストマッチには17連勝。NZ、イングランドの18連勝という世界記録に王手をかけていた。それだけ隙のないチームを作っていた。

 役者も揃っていた。チームを率いるキャプテンは2018年のワールドラグビー世界最優秀選手にして38歳の司令塔、魔法のようなパスを操るSOジョニー・セクストン。FWには無尽蔵のハードワークで2022年のワールドラグビー世界最優秀選手に輝いたFLジョシュ・ファンダーフリーアーがいる。

 FWたちが鍛え上げたフィジカルの強さで接点の攻防を制圧し、倒れてもすぐ起きるハードワークを重ね、セクストンは丁寧なパス回しで相手に穴を作り出す。突破役のCTBバンディー・アキはNZ出身、オールブラックスへの夢が叶わずはるか欧州に新天地を求め、今大会ではプール戦でボールキャリー61回、ゲインメータ-567m、ディフェンス突破23回とアタック3部門で全チーム最多の数字を残すなど絶好調。機は熟していた、はずだったのに……。

 立ち塞がったのは「エイトの壁」だった。「準々の呪い」と呼ぶ人もいる。

 そう。アイルランドはラグビーワールドカップに1987年の第1回大会から全大会に出場。うち今回を含め8大会で8強に進出していながら一度も4強には進んでいないのだ。

【次ページ】 「昭和的なラグビー」から変身したアイルランド

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