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青学大《出雲駅伝》“完敗”の5位で原晋監督の寡黙のワケ…唯一「合格点」だった選手は?「箱根シード落ちもありうる」春からの“成長と誤算”
text by
小堀隆司Takashi Kohori
photograph byNanae Suzuki
posted2023/10/11 11:02
優勝候補の青学大は5位に終わり、憮然とした表情の原晋監督。全日本、箱根での巻き返しはなるか
チームの再建に手応えを感じ始めたのは夏合宿の最中だった。
都内でも猛烈な暑さが続く中で、原監督は合宿の前倒しを決意。例年にない20泊21日という異例の長さの合宿を菅平高原で行った。
朝夕を中心にロードを走り込み、部員みんなで同じ釜の飯を食う。華やかなイメージのある青学大だが、毎日の取り組みはひたすら地味で真面目だ。早朝5時半に集合し、黙々と朝露の中を走り込む彼らの様子からは、今年も頂点を狙うという覚悟が感じられた。
実際に、夏以降の記録会では好記録が続出。とくに9月24日の絆記録挑戦会では17名が5000mを13分台で走り、4年の山内健登は近藤の青学記録に迫る13分35秒04をマークした。
王者・駒澤大にも記録上は肉薄していたが…?
5000mという距離の持ちタイムで言えば、駒澤大とも大差ないところまで仕上げられた。だからこそ、原監督は前日の記者会見でこう述べたのだ。
「ほぼベストメンバーが揃いました。出雲では5年ぶり5度目の一等賞を狙います」
学年に関係なく、練習の消化率が良い者、もっとも練習ができている選手を出雲のメンバーに選んだ。
自信はあった。それでもうまくいかなかった。
閉会式会場の片隅で、天井の一点を見つめる原監督は、その原因が何であるのかを必死になって考えているようだった。