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青学大《出雲駅伝》“完敗”の5位で原晋監督の寡黙のワケ…唯一「合格点」だった選手は?「箱根シード落ちもありうる」春からの“成長と誤算”
text by
小堀隆司Takashi Kohori
photograph byNanae Suzuki
posted2023/10/11 11:02
優勝候補の青学大は5位に終わり、憮然とした表情の原晋監督。全日本、箱根での巻き返しはなるか
原監督が唯一、合格点を与えたのは…?
だが、収穫がなかったわけではない。チームとしての結果は出なかったが、2区を走った2年生の黒田朝日と4区の山内が共に区間賞を獲得。地力があることを示した。
監督が「今回の6区間の中で、合格点は黒田だけ」と話したように、崩れかけた流れを1人で立て直した黒田の走りは全体の中でも光っていた。
しかも、同タイムで区間賞を分け合ったのは、駒澤のエース格の一人である佐藤圭汰(2年)だ。本人も大いに自信になっただろう。
「後ろの方で襷をもらったので、前にいる選手をドンドン抜いていくことだけを考えていて、区間賞自体はほんとに意識してなかったので、終わって取れたと聞いてただただ驚いてます」
黒田はそう謙虚に話すが、今季はトラック種目で何度も自己ベストを更新するなど絶好調だ。夏の菅平では、箱根の5区を想定した青学大恒例の上り坂タイムトライアルが実施されたが、そこでトップを奪い、新たな”山の神”候補に名乗りを上げたのも黒田だった。
どんなレースでも外さない。トラックと同じだけの能力をロードでも発揮する。そんな選手を、原監督は「駅伝力がある」と表現するが、黒田はまさにそんな選手に育ったと言えるだろう。
黒田はこうも話す。
「(ロードへの対応は)初めてだったんですけど、自分の思っているとおりに動いてくれましたし、今日はほんとによく走れたなって思います」
彼のような選手がいるといないのとでは、今後の戦力に大きな差が出てくる。はたして新たな駅伝男の誕生が、チーム浮上の切っ掛けとなるか。駅伝シーズンがより盛り上がっていくためにも、青学大の巻き返しに期待したい。