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青学大《出雲駅伝》“完敗”の5位で原晋監督の寡黙のワケ…唯一「合格点」だった選手は?「箱根シード落ちもありうる」春からの“成長と誤算”
posted2023/10/11 11:02
text by
小堀隆司Takashi Kohori
photograph by
Nanae Suzuki
勝っても負けても話すことを厭わない原晋監督だが、この日はめずらしく言葉少なだった。
「完敗。われわれの取りこぼしもあったけど、力の差が圧倒的に駒澤が上ですね。後手に回ったら勝てないな」
今年の緒戦である駅伝(出雲駅伝)で、青学大はよもやの5位と苦杯をなめた。2年連続5度目の優勝を飾った駒澤大との差は3分37秒。距離の短い出雲で、この差はかなり大きい。事前の予想では青学大も優勝候補のひとつに挙げられていたが、これほどの大差がついたのはなぜだったのか。
「やはり1区でしょう。アイビーリーグ選抜が作った速い流れに乗れなかった。乗れた駒澤との差を20秒以内ぐらい(実際は1区で39秒差がついた)に収めてくれたらまだわからなかったけど、駅伝は(襷を)もらう位置によって展開が変わるからね。
それに全区間で駒澤大はブレーキがなかった。レースの中で起承転結ができるんです。それはやっぱり絶対的な力があるからこそ。駅伝のコーディネートができるっていうところで、今の学生駅伝界の中では力が上でしょうね」
そこまで一気に話すと、敗者はあまり語らずですから、と監督は背を向けてしまった。悔しさをグッとのみ込んだのは、それだけ戦前の手応えを感じていたからこそだろう。
原監督が春先に感じていた「危機感」
春先に話を聞いた際は、もっと声は沈んでいた。
5000mと10000mの青学大記録を持つ近藤幸太郎や、1年生の時から主力を担った岸本大紀ら強い4年生がごそっと抜け、戦力ダウンを監督も自覚していたからだ。
新チーム発足直後のミーティングでは、「このままだと箱根のシード落ちもありうるぞ」と熱い口調でカツを入れている。