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鎌田大地「因縁ミラン戦」で見せ場なし “低迷ラツィオ”監督の全方位激怒に番記者も呆れ顔…打開策は「鎌田が軸となった成熟」しかない
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byJonathan Moscrop/Getty Images
posted2023/10/03 17:02
“因縁”のミラン相手に勝ち星を挙げることができなかった鎌田大地。ラツィオにとってまさかの低調な序盤戦となっている
7節終えてわずか勝ち点7の低速発進は16年ぶり。昨季2位に躍進し、UEFAチャンピオンズリーグにも出場するなど今季への期待も高かったチームは16位で、残留争いよりほんの少し上のあたりを彷徨っている。
試合後のサッリ監督は、今季一番といえるほど怒りをぶちまけた。
「真に強いチームとはミランのことだ。うちはちがう! 本当のことをいえば(2位になった)昨シーズンのチームですらも真に強いチームだったとはいえん。今日の我々は、時速35kmで突っ走る選手(=FWレオン)が2度アクセルをふかしただけのミランに負けた。反撃するかと思ったらうちの選手たちは徐行運転だ!」
地元番記者「こうなったら気を済むまで言わせるしか」
サッリ親分は優れた戦術家である一方、極端な愚痴り屋としても知られる。ミラン戦後は負けた腹いせにほとんど言いがかりともいえる全方位口撃。地元番記者たちも「こうなったらサッリは手がつけられない。気が済むまで言わせておくしかない」と呆れるばかりだ。
「うちの中盤が固定できないのは、UEFAとFIFA、セリエAリーグ機構とそれに阿る連中全員が組んだ無茶苦茶な日程のせいだ。70時間ごとに試合があっては(コンディション不足で)同じ選手を4、5試合続けて起用できん。仕方なく交代させるしかないが、うちの新戦力には8月にやってきた選手しかおらんのが問題だ」
ミラン戦に先発したMFロヴェッラとMFゲンドゥージの移籍が成立したのはそれぞれ8月16日と31日。途中出場したイサクセンの移籍決定は8月8日で、その3日前に契約した鎌田も含め、体力作りや戦術理解のために重要なプレシーズンキャンプを共有できずにきたツケが響いている。
サッリと鎌田の理想は同調しているはずだが
ミラン戦で明らかになったのは、何よりラツィオは未だチームの“基礎工事”を続けている段階にあるということだ。ミランを始めとする上位陣とはチームの成熟度で大きな差をつけられている。
「我々は今、チームとなった」
ミランのピオリ監督は満足気だ。