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鎌田大地「因縁ミラン戦」で見せ場なし “低迷ラツィオ”監督の全方位激怒に番記者も呆れ顔…打開策は「鎌田が軸となった成熟」しかない
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byJonathan Moscrop/Getty Images
posted2023/10/03 17:02
“因縁”のミラン相手に勝ち星を挙げることができなかった鎌田大地。ラツィオにとってまさかの低調な序盤戦となっている
4節ミラノ・ダービーでの歴史的惨敗の後、チームは中盤の戦力不足に見舞われたが、指揮官は一度戦力構想外としたMFアドリーを再登用し、選手活用のバリエーションを広げることに成功した。レオンが2アシストしたラツィオ戦で、得点を決めたのは新体制のフロントが獲得したFWプリシックとFWオカフォーの新加入組2人だった。
夏に大量補強を受けた智将ピオリは、まるでプレミアリーグのチームのような“パワー&インテリジェンス”とでもいうべき独特の新スタイルを作り上げつつあり、首位をインテルと分け合う。
チームとしての方向性が明確で、困難にあっても解決のためのアイデアとリソースに事欠かない。方向性はちがえど、指揮官サッリとそれに同調する鎌田の理想も、個の能力がチーム戦術に落とし込まれたスタイルにはちがいないだろう。
有機的な攻撃につなげるには、鎌田らの成熟が必要
ただし、結果を出せない監督にあとどれだけ猶予が残されているか怪しくなってきた。
ミラノ勢とはすでに勝ち点で11点差、来季CL出場圏の4位ユベントスとも7点差をつけられた親分は苦し紛れの言葉を絞り出す。
「チャンピオンズリーグはうちにとって大事な晴れ舞台だ。セリエAで苦戦しているからといって、カップ戦でもそうだとは限らんだろうが」
ゲンドゥージとMFベシーノを起用する場合、中盤からのロジックで守備戦術は固まってきた。だが、そこから有機的な攻撃につなげるには、やはり鎌田を軸とするプレーの成熟が必要だ。ラツィオは徐行している場合ではない。
ミラノでのゲームは苦い結果に終わった。鎌田とラツィオはグラスゴーに向かう。
10月4日、CL第2節セルティックとの試合にも運命のスライディング・ドアは待ち構えている。勝利への電車に飛び乗れるか、閉まるドアに行く手を阻まれるか。
シーズンは走り出している。置いていかれそうなラツィオと鎌田は、今こそ食らいつかねばならない。