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鎌田大地「因縁ミラン戦」で見せ場なし “低迷ラツィオ”監督の全方位激怒に番記者も呆れ顔…打開策は「鎌田が軸となった成熟」しかない
posted2023/10/03 17:02
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Jonathan Moscrop/Getty Images
ミランの本拠地サン・シーロでの選手コールを聞きながら、1本の映画を思い出した。1998年公開の映画『スライディング・ドア』だ。
わずかなタイミングの差で、地下鉄のドアが隔てた運命の分かれ目を描いたストーリーは、サッカー選手にとって“あり得たかもしれない移籍”の喩えとしてよく使われている。
今年の夏が始まる前、移籍市場でミランの獲得選手第1号はMF鎌田大地になるだろうと思われていた。
しかし、その後のフロント大刷新や補強戦略のリセットによって鎌田のミラン入りは消滅。彼の行く先が首都ローマのラツィオへ変わったことは周知の通りだ。
途中出場した鎌田だったが見せ場をほとんど作れず
本格的に秋が訪れようとする9月末のセリエA第7節、ラツィオは敵地サン・シーロに乗り込み、0-2で敗れた。スコア以上に苦さの残る4敗目を喫したチームの状況は甚だ芳しくない。
ベンチスタートだった鎌田は、67分から3試合ぶりに出場した。中盤から前線の攻撃ユニットの一部を担ったものの、やはり後半から急場しのぎで起用されたFWペドロと主将インモービレ、新加入FWイサクセンの3トップとはボールがつながらず、見せ場はほとんど作れなかった。
後半にミラン守備陣をひやりとさせた連係プレーは86分の1度きり、ペドロが94分に決めた芸術的ゴールはオフサイドで無効とされた。攻撃陣不振の根は深い。
もしかしたら自らのホームになるかもしれなかったスタジアムで何ら爪痕を残すことなく、鎌田は試合終了の笛を聞いた。つねにポーカーフェイスの彼にとっても、さすがに思うところがあったのではないか。
低迷ラツィオにサッリ監督は怒りをぶちまけ…
ラツィオの低迷は深刻だ。