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吉田正尚がメジャー移籍、山本由伸の“WBC疲労”考慮も山﨑颯一郎らがカバーしてオリ独走V3…中嶋監督「常に先を見た選手起用」のたまもの 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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posted2023/09/26 11:06

吉田正尚がメジャー移籍、山本由伸の“WBC疲労”考慮も山﨑颯一郎らがカバーしてオリ独走V3…中嶋監督「常に先を見た選手起用」のたまもの<Number Web> photograph by JIJI PRESS

パ・リーグ3連覇を達成したオリックス。過去2年に比べて圧勝を飾れた要因とは

 絶対的な中軸、吉田正尚がMLBに移籍、西武から強打の捕手森友哉が加入。ただ森は夏季、故障での離脱が1カ月余に及び、単独では完全に穴埋めはできなかったが、首位打者目前の頓宮、さらに紅林が急成長し、トータルで穴を埋めた。

「猫の目打線」は弱いチームにありがちだが

 体調不良や不振で福田周平が離脱すると、独立リーグ徳島から育成で入団したばかりの茶野を開幕から間もなく1番に起用。茶野は懸命なプレーでチームに貢献した。後半戦は野口智哉、太田椋、巨人から移籍した廣岡大志などが日替わりのように1番を打った。

 二塁も、ベテランの安達の成績が上がらないと、驚異的な守備力のゴンザレスの他、宜保翔、西野真弘、太田椋などが守った。また育成上がりのセデーニョも好調時に使った。

 こうした「猫の目打線」は、弱いチームの代名詞だが、中嶋聡監督は選手の「賞味期限」を良く見極め、調子が落ちればさっと入れ替えた。ファームも含めて選手の最新の状態を把握していたことが大きかった。

投手陣は山本由伸が圧倒的…なのは大前提の上で

 つづいては、投手陣の比較。PRはリーグ防御率に基づく総合指標。*は左投手

〈2022年〉
・先発陣
山本由伸26試15勝5敗 193回 率1.68 PR 31.74
宮城大弥*24試11勝8敗 148.1回 率3.16 PR 0.00
田嶋大樹*20試9勝3敗 125回 率2.66 PR 6.94
山岡泰輔22試6勝8敗1H 128回 率2.60 PR 7.96
山﨑福也*24試5勝8敗2H 114.2回 率3.45 PR -3.69
ワゲスパック32試2勝6敗7H5S 72.2回 率2.97 PR 1.50

・救援陣
平野佳寿48試3勝2敗8H28S 46回 率1.57 PR 8.30
阿部翔太44試1勝0敗22H3S 44回 率0.61 PR 12.47
本田仁海42試2勝3敗14H2S 43.2回 率3.50 PR -1.65
ビドル* 35試4勝5敗13H0S 40.1回 率4.02 PR -3.85
近藤大亮 32試1勝4敗15H2S 30回 率2.10 PR 3.53
比嘉幹貴 30試5勝0敗5H1S 21.1回 率2.53 PR 1.49
黒木優太 27試2勝2敗5H1S 26.2回 率2.36 PR 2.37
村西良太 22試1勝1敗8H0S 24.1回 率4.44 PR -3.46
宇田川優希 19試2勝1敗3H0S 22.1回 率0.81 PR 5.83
小木田敦也 16試0勝0敗5H0S 14.1回 率3.14 PR 0.03
山﨑颯一郎 15試0勝2敗6H1S 36回 率3.00 PR 0.64

 エース山本由伸はリーグ最多の2909球、193回を投げ、文字通り大黒柱の活躍。宮城も2けた勝利を挙げ、田嶋も9勝を挙げたが、信頼感では山本とは大きな差があった。

 救援はクローザーの平野とセットアッパーの阿部が中心。あとは調子のよい投手が適宜起用されていた。

 では2023年は、どのようなスタッツになったのか。

【次ページ】 投打ともにパの他5球団との差がクッキリ

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