酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
吉田正尚がメジャー移籍、山本由伸の“WBC疲労”考慮も山﨑颯一郎らがカバーしてオリ独走V3…中嶋監督「常に先を見た選手起用」のたまもの
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byJIJI PRESS
posted2023/09/26 11:06
パ・リーグ3連覇を達成したオリックス。過去2年に比べて圧勝を飾れた要因とは
〈2023年〉
・先発陣
山本由伸 22試15勝6敗 157回 率1.26 PR 32.62
宮城大弥* 21試10勝4敗 141.2回 率2.35 PR 12.28
山下舜平大 16試9勝3敗 95回 率1.61 PR 16.04
山﨑福也* 21試9勝5敗 116.1回 率3.56 PR -5.56
山岡泰輔 27試2勝1敗7H 1S 90回 率2.30 PR 8.30
田嶋大樹* 12試6勝3敗 75.2回 率3.21 PR -0.67
東晃平 9試6勝0敗 47.1回 率1.71 PR 7.47
・救援陣
山﨑颯一郎 52試1勝0敗27H9S 51.2回 率1.05 PR 11.94
阿部翔太 46試2勝4敗21H1S 44回 率1.84 PR 6.31
宇田川優希 42試4勝0敗17H2S 41.2回 率1.94 PR 5.51
平野佳寿 40試3勝2敗5H27S 38回 率1.18 PR 8.23
小木田敦也 34試4勝0敗4H0S 44.1回 率2.44 PR 3.40
比嘉幹貴 31試2勝0敗6H0S 20回 率2.25 PR 1.96
山田修義* 30試0勝0敗6H0S 29.2回 率1.21 PR 6.33
本田仁海 28試2勝1敗7H0S 32.2回 率6.34 PR -11.65
WBC帰りの山本の疲労を考え、中嶋監督は開幕投手に一軍登板がない山下舜平大を抜擢。山下は、160km/hの速球で山本に並ぶエース級に成長。今季の山本は2323球、157回と昨年よりも大幅に球数、投球回数を減らしたが、宮城、山下らの成長で、先発陣はむしろ強化された。山下は腰痛で離脱したが、今度は8月から東晃平が台頭しローテが強化された。
救援陣は、39歳の平野の負担を考え、昨シーズン半ばから救援に転向した山﨑颯一郎、育成上がりの宇田川優希のWBC組がこれをカバー。阿部翔太とともに強力な「勝利の方程式」ができた。昨年の先発4番手の山岡を後半から救援に回したのも贅沢な起用だった。
昨年から、先発救援ともに山本由伸、平野佳寿という「絶対的な柱」がいることがオリックスの強みだったが、今季は周囲の成長で「柱に頼り過ぎない」布陣に成功したと言えよう。来季山本由伸のポスティングでのMLB移籍が確実視されているが、中嶋聡監督はその準備をしながらペナントレースを圧勝した。
投打ともにパの他5球団との差がクッキリ
さて、阪神と同じリーグごとの投打成績のマトリックス。これで2022年、2023年のセ・リーグを俯瞰してみる。
縦軸には打撃面の指標であるOPS(長打率+出塁率)、横軸には投手力の指標であるERA(防御率)を入れた。ここに昨年と今年のパ・6球団のリーグ成績をマッピングする。
昨年は打線が強力だったソフトバンクと投手力のオリックスが競り合い、勝率で並び、直接の対戦成績でオリックスが優勝になった。