久保が中央にラストパスを送り込むと……

反応したバレネチェアが先制ゴールを奪い取った

　右サイドへ開いて待つ久保の元へパスが入ると、それに連動するように右サイドバックのトラオレが内側から久保を追い越す。ソシエダの14番は、その動きを囮に左足アウトサイドで切り返し、ピッチ中央へ切り込む。

　その視線が、ボックス内へ飛び込むバレネチェアを捉えると、立ちはだかる5人のマドリーの選手間を縫う鋭いクロスを送った。バレネチェアのシュートは一度はGKケパに弾かれるも、こぼれ球を粘り強く押し込んで先制に成功した。

先制点を奪われてもホームチームを鼓舞するマドリーのサポーターたち

　幸いなことに、ゴールに関与した2人は、この日サイドに取った撮影ポジション目掛けて走り込んできた。思いもよらぬ早い時間でのシャッターチャンスに、興奮しながらもなんとか3台のカメラを持ち替えてシャッターを切っていく。

　ただそんな興奮もよそに、マドリーの選手達はただ冷静にキックオフに向かう。そしてスタジアムを埋めるサポーターたちからも、焦りのようなものは一切感じさせず、ただ声援を強めた。

“取り消されたゴラッソ”以降もすさまじかった

　そんな常勝軍団マドリーをしても、この日の久保を止めることは容易ではなかった。11分、パスを受けた久保には、相手左サイドバック、フラン・ガルシアに加え、MFトニ ・クロースが立ちはだかった。

　久保はその2人を容易く置き去りにすると、ボックス外より左足を振り抜く。

　放たれたボールは、鋭く落ちながら見事サイドネットへ突き刺さった。

　しかし、久保へパスした後、ゴール前へと抜け出したオヤルサバルがオフサイドポジションでシュートの軌道と重なってしまい、ゴールは取り消されてしまった。

　そんな“ゴラッソ”が取り消されたにもかかわらず、久保には苛立ちを感じさせるところはなかった。

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