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《空飛ぶGKが起死回生ヘディング弾》不運の鎌田大地にサッリ親分が「気落ちしてはならん!」CL初戦ラツィオ男気ドローを現地取材
posted2023/09/20 17:55
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
AP/AFLO
九死に一生、起死回生。ラツィオが奇跡を起こした。
9月19日、MF鎌田大地のラツィオはUEFAチャンピオンズリーグ開幕戦で、ホーム「オリンピコ」に強敵A・マドリーを迎えた。
0-1で敗戦必至と思われた95分、その試合最後のプレーで同点ゴールを決めたのは、何とラツィオGKプロヴェデルだった。
「最後のプレーだとわかっていたから飛び込むしかないと思っていた。(アシストした)ルイス・アルベルトに感謝だよ。ゴールすることには慣れてないけれど勝ち点がとれて本当によかった。チームメイト全員から(よくやったと祝福で)バチバチ叩かれて体中が痛い。一番痛いのはロティート会長から叩かれたところだよ」
殊勲の守護神は中継のマイクに夢見心地で応えた。
鎌田のシュートから「ラツィオ!」コールが起きたが
ラツィオとMF鎌田大地にとって、CLでの今季初陣は恵みのドローといえるだろう。
3日前のセリエA第4節ユベントス戦で国内3敗目を喫し、窮地にあったラツィオには何かしらの変化が求められていた。
これまでの序盤戦でスタメンをほぼ固定してきたマウリツィオ・サッリ監督は、4-3-3の中盤アンカーをMFカタルディからMFベシーノへ変更し、左サイドバックにDFペッレグリーニを初めてスタメン起用した。先発落ちの可能性が取り沙汰されていた鎌田を右インサイドハーフに据え置いたことで、指揮官はボールポゼッションからつないで崩すスタイルにこだわる姿勢をあらためて示したのだ。
「この大会に出るために2年戦ってきた。いざこの場に立ってボヤッとしていたら馬鹿みたいだろう」
全力でゲームに集中しろ、とサッリ親分が前日会見で入れた活が効いたのか、ラツィオは試合開始直後から攻勢に出た。
12分に鎌田が低い右足シュートを放つと、勢いをつけるようにスタンドの数万観衆から「ラツィオ! ラツィオ! ラツィオ!」の大コールが起きた。
守備への意識も高く、ボールを奪ってからの速攻の流れも今季一番といえるほどアグレッシブ。25分には左FWザッカーニが、3分後にはMFルイス・アルベルトがそれぞれ惜しいシュートで続いた。
アトレティコの先制点で不運に見舞われた鎌田
だが、先制点を奪ったのはA・マドリーだった。不運に見舞われたのは、誰あろう鎌田だ。