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「受け入れたくない。整理できない…」岩崎優、岩貞祐太ら18年ぶりVの阪神選手が明かす「毎日泣いた」横田慎太郎さんとの別れと“あの日から”
text by
土井麻由実Mayumi Doi
photograph byHideki Sugiyama
posted2023/09/19 11:05
同期入団の横田さんのユニフォームとともに胴上げされた守護神・岩崎
忘れられない「他愛もない時間」
横田さんとの別れを経て、あらためて強い思いを抱かされたのは、髙山俊も同じだ。16年に横田さんが「2番・センター」で一軍デビューしたときにトップバッターとして「1、2番コンビ」の“相方”をつとめていた。
「可愛らしい後輩でした。よくいじりましたね。当時は2人とも車を持ってなかったんで、北條(史也)に乗せてもらって、いつも3人で球場に通っていました」
車中では、野球や試合の話をすることもあれば、他愛のない会話で大笑いすることもあり、楽しい毎日だったという。
「彼が病気をしたとき、引退を決断したとき、お別れしたとき……自分がやりたいことをやれているのは恵まれているんだ、と思ったんです。土俵に立ちたくても立てなかった横田の思いがある。1日1日しっかりやらなきゃいけない、という気持ちにさせてくれています」
8年目の今季、まだ一軍出場はない。打って結果を出して一軍に上がる。その目標は大前提だが、それでも髙山はまず「土俵に立てている」ことの幸せを日々感じて野球に向き合っているのだという。
選手一人一人の心に横田さんがいる。これからもずっと……。天国から加わった“初めてのビールかけ”は、どんな味がしたのだろうか。