一軍復帰プランの真相

　8月中旬に本格的なピッチング練習を再開。吉井監督は「まずは脇腹をかばって投げていないか。重点的にフォーム確認をした」と入念にチェックを重ねた。問題がないことを見極めると、この段階で9月上旬の一軍復帰プランを描き始めた。

　実戦チェックは9月3日。ZOZOマリンスタジアムで首脳陣が見守る中、打者相手のピッチングを行い、問題がないことを確認。その後、医療機関で精密な検査を行い医学的根拠を得ると、明確に9月10日を照準にしたGOサインが灯った。

復帰へ、慎重に道筋を描いていた吉井監督　©︎JIJI PRESS

「いきなり一軍登板」の理由

　二軍調整を挟まずに一軍登板へという道を決断したのも吉井監督だ。

「あそこまでの仕上がりであれば、二軍での調整を挟まずに投げても一緒と判断した。彼の場合、当然だけど二軍戦で投げると、もちろん抑えて戻ってくる。それ以上、なにもない。

　1年以上投げていないとか、肩、ひじに問題があって、そこの部分を確認しないといけないのならそのプロセスを踏まないといけないけれど、そういうわけでもない。それらすべてを踏まえてワシが決断しワシが責任をとる。その辺の責任の所在は明確にした中で決めた」

　全幅の信頼を寄せているがゆえの決断。佐々木朗希が復帰登板で初回に見せた161kmのストレートは、その決断の答えだった。

復帰戦ではストレートが最速161kmをマークするなど力投した佐々木朗希　©︎Chiba Lotte Marines

　佐々木朗希本人も早期復帰登板を果たすことをモチベーションとしてトレーニングを重ねていた。一軍の試合もテレビ観戦。「しっかりとゲームは見ていました。特に相手チームを見ながらのイメージだったり、そういうところはなるべくなくさないようにはしました。試合を見て夜の10時ぐらいに寝て、朝早く起きる。そんな日々でした」と振り返る。ただ、やはり試合に投げられない日々は彼にはあまりにも単調であり、刺激が足りなかった。復帰登板が明確になってからは表情が一気に晴れやかになっていった。

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