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ロッテ・佐々木朗希「異例の早期復帰」の理由…吉井監督が描いた“道筋”と秘めた覚悟「ワシが決断し、ワシが責任を取る」
text by
梶原紀章(千葉ロッテ広報)Noriaki Kajiwara
photograph byChiba Lotte Marines
posted2023/09/14 17:01
ステップを踏みながら完全復活を目指す佐々木朗希
「診断はあくまで診断。全治に関しては幅が広かったので、もしかしたらという思いがあった。わき腹はピッチャーならほとんどだれもが痛めたことがあると思う。ワシも近鉄での現役時代にやっている。その時もそこまではかからなかった。本人や色々な人と話をしてみた感じからも、もっと早く戻れるのではないかと思っていた」
投球フォームの異変
前半戦の最後の頃から、指揮官は佐々木朗希の投球フォームに異変を感じていた。
「上半身で投げているように見えた。下半身を使いきれていなかった。オールスターの時のピッチングもテレビで見ていたけど、重心が高いなあと思っていた。ただ、その時はオールスターの独特の雰囲気もあるのかなという感じで考えていた」
フォームの微妙な変化には気がつきながらも一手打つことが出来なかった事への後悔はずっと頭に残っている。復帰登板が無事に終わり、監督室に戻った指揮官はまず、無事に復帰できたことを喜びながらもポツリとこう口にした。
「そういう意味では兆候があったのかもしれない。未然に防ぐことが出来なかったのは申し訳ない」
そんな想いがあるからこそ、復帰までは慎重にプロセスを踏んできた。
予想以上に良好な回復
8月に入り、ネットスローや強めのキャッチボールを再開すると、投球練習の強度は日に日に上がった。それほど患部の回復状態は予想以上に良好だった。黒木知宏投手コーチは「予想以上に順調に回復している。彼はトレーニング、栄養とキッチリ自己管理しながら日々を過ごしている。だから回復も早いのかと思う」と舌を巻いた。