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プロ野球PRESSBACK NUMBER
5歳後輩・山本由伸が「今永さん、何やってんすか!」今永昇太30歳が明かす“由伸にイジられた日々”「ダルビッシュさんはお兄ちゃんのようでした」
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph byNaoya Sanuki
posted2023/09/14 11:07
横浜DeNAベイスターズ、今永昇太投手(30歳)。「ダルビッシュさんのおかげで家族のようだった」というチームを振り返る
食事会が終わり記念撮影となったその時、報道で「代表の雰囲気に馴染めていない」というコメントが取り上げられていた宇田川優希を輪の真ん中に押し出したのがダルビッシュだった。
「『真ん中で写真撮ろう。そうしたらもう馴染めてないなんてことも言われなくなるでしょ』って。で、宇田川会って名前がつきました。あれ以降は本当に絆が深まりましたね。野球以外の他愛もない会話も増えて、何でも話せるような雰囲気になったと思います」
なぜ自己最速154kmを出せたか?
国内組の若い投手からも大いに影響を受けた。元々仲が良く「僕を先輩と思っていない。本当にいいキャラしてる」という山本に加え、佐々木朗希や大勢、湯浅京己らプロ入り数年の若手投手の意欲的な姿勢からも刺激を受けたと話す。
「日本代表に集まるような選手というのは、誰に何を言われることもなく、自分の調整方法をわかっている。今日はこれぐらいでいいやという感覚は一切なくて、朝は練習時間よりもっと前に球場入りして、ストレッチなり、自分のルーティンをやっているんです。当たり前の光景ではあると思うんですけれど、それがここにいる人たちが日本を代表すると言われる所以だな、と。みんな黙々とやりますしね。ピッチャーは特にマウンドでは1人なんで、黙々とやるべきことが出来る、というのは、1つの条件なんだろうな、と感じました」
高いレベルの投手たちと接する中で、今永自身にも驚くような成果が生まれた。第2先発として登板した1次ラウンド第2戦の韓国戦。4回からマウンドに上がり、3人目の打者である梁義智に対して、2球続けて自己最速の154kmを計測したのだ。
「150何kmを投げたいというのは、本当に5年くらい前から思って取り組んできたことなんです。それがあの場で出た。それも闇雲に投げたわけでもなく、短いイニングだから出力を上げられたわけでもない。しっかりとしたメカニズム、自分の頭の中の“運動連鎖”の中で出たのが、本当によかったです」
予選ラウンド大一番の舞台で会心の1球を投げられたことについて試合後、「自分の知らない力を出させてもらった」と表現した今永。実はその背景には、ダルビッシュや大谷翔平、佐々木朗希や山本由伸らと時間を過ごしたことによる「脳の作用」があるのだと明かす。“投げる哲学者”が自ら分析するその「作用」とは――。
<続く>