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「Jリーグで最下位のスタジアム」いわてグルージャ盛岡・秋田豊社長が語る“スタジアム改修”への熱意「岩手県からサッカーの火を消さないために」 

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戸塚啓

戸塚啓Kei Totsuka

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photograph byMasashi Hara - JL/Getty Images for DAZN

posted2023/09/13 18:30

「Jリーグで最下位のスタジアム」いわてグルージャ盛岡・秋田豊社長が語る“スタジアム改修”への熱意「岩手県からサッカーの火を消さないために」<Number Web> photograph by Masashi Hara - JL/Getty Images for DAZN

いわてグルージャ盛岡がホームとして使用する『いわぎんスタジアム』。秋田豊社長はスタジアム改修の必要性を強く訴えている

昇格できない場合、クラブはどうなるのか

 協議委員会の出席者からは、「財政状況は厳しいし、建設費用はさらに高騰するのではないか」といった懸念の声も上がった。社会インフラの老朽化、地震や大雨などの自然災害の増加、被災文化材の修復など、地方自治体は様々な課題を抱える。限られた財源の使途として、スタジアムの改修は必ずしも優先順位が高くない。

「グルージャは2022年、岩手県に33億円の経済効果をもたらしました。税収効果は1億円になります。我々がライセンスを失ったら、これが消えてしまう。子どもたちの夢もなくなってしまう。県や市には、それでいいのですか、という話をしているんです」

 2023年シーズンのJ3リーグで、グルージャは中位に位置している。今シーズンは混戦の色合いが強く、2位以内が権利を得るJ2昇格の可能性を残している。一方で、条件次第でJFLに降格する最下位とは勝ち点に開きがある。おそらくは来シーズンも、Jリーグの舞台で戦っているはずだ。

 そのとき、新スタジアムの整備計画が整っていなかったら──。

「整備計画を提出できなければ、リーグ戦の成績が良くても上位リーグに昇格できません。昇格できないのなら、選手もこのチームに残ろうとは考えないでしょう。それから、株主のなかには投資目的の方もたくさんいるので、J2ライセンスを取れなくなると投資意欲が削がれてしまうでしょう」

 2022年度の決算で、いわてグルージャ盛岡の売上は6億7200万円となっている。入場料収入は3500万円だ。同年にJ2を戦った22チームで、もっとも少ない。同年のJ3でも、18チーム中9番目の数字に止まる。

「21年はJ3で戦い、1試合平均の観客が1400人弱。22年はJ2で1試合平均が1700人強。今年は8月までの12試合で1300人強。1500人を超えた試合もあります。アベレージは少しずつ上がってきているけれど、集客の具体策については手詰まり状態なところがある。企業努力はもちろん続けていきますが、岩手県はラグビーが強い印象です。スタジアムの改修をすることで、観客動員をもうひと伸びさせたいのです」

【次ページ】 「我々は崖っぷちに追い込まれているんです」

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