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「なぜか町田だけ批判されますよね」禁断の移籍、ロングスロー、時間稼ぎ…J2首位チームに“賛否の声”、異例の転身・黒田剛監督はどう答える?
text by
栗原正夫Masao Kurihara
photograph byHideki Sugiyama
posted2023/09/08 11:11
今季から町田で指揮を執る黒田剛監督(53歳)。昨季15位だったチームをどうやって変えたのか?
「メディアでもネットでも、正直ネガティブな論調が多かったですよね。私が、また何か言うと騒ぎが大きくなるので、基本的にはあまり何も言いたくはありません。
確かに町田と東京V(第33節終了時4位)はいまJ2の上位につけているクラブ同士で、シーズン途中の移籍ではありました。移籍の裏には青森山田高時代から指導者と選手だった私とバイロンの“親子愛”みたいなものがあるのも事実です。
ただ、クラブ間で正式に合意した話ですから。『町田がヴェルディから強奪した』というようなものも見かけましたが、移籍にはそれに見合ったお金も発生していますし、当然、互いのクラブが納得しての話ですから、“強奪”という悪意のある表現はあり得ないと思います。しかも契約は残っているので実際には断ることもできたわけです。ウチが悪者で、ヴェルディは悲劇的というような言い方をするような人もいましたが、ヴェルディのチーム編成上の意図もあったわけですから、移籍情報で知った人は本当の事情を知らないだけです。それはたとえば染野(唯月)ら多くの選手を事前に補強していた事実からも明らかですよね」
確かに東京Vはバスケス・バイロンの放出を発表する2日前の7月4日に、鹿島アントラーズから染野の期限付き移籍での加入を発表している。さらに、今夏は名古屋グランパスからMF甲田英將、セレッソ大阪からMF中原輝をいずれも期限付き移籍で迎えている。双方のクラブが合意した移籍に“強奪”という言葉は、行きすぎの感がある。
「町田は時間稼ぎをした」批判
国立での町田と東京Vの一戦は、サッカースタイルの違いからもファンや関係者の間で様々な議論に発展した。
前半に町田が2点をリードしたが、終盤に東京Vも2点を返し2-2のドローで終わった。堅守速攻をベースとする町田とボール保持志向の強い東京Vの戦い方が対照的だったこともあってか、町田のサッカーについて「守備的で面白くない」「勝負に徹し、時間稼ぎも厭わない」などと、なかには批判めいた声も聞かれた。
こうした声は青森山田でも町田でも結果を出し続けている黒田監督に対し、やっかみの感情が含まれてのことだと想像する。