ラスパルマスは攻撃時、大きく左サイドに開くウイングのサンドロと、そのサンドロより内側で高い位置を取るSBカルドナの絶妙なポジショニングでソシエダ守備陣を翻弄した。

　ソシエダの右SBトラオレがサンドロ、カルドナどちらの対応につくかが定まらずにいると、サンドロに対して久保、スビメンディ、スベルディアらが、場当たり的な対応に終始せざるを得なくなる。守護神レミロの好セーブで失点こそ回避したものの、猛攻を受けた。

ユニフォームを引っ張られても鮮やかな久保の突破

　またソシエダ攻撃時には、シルバの故郷でもあるこの場所で――彼の不在を大きく感じることになった。ソシエダの攻撃は、まずワンボランチに入るスビメンディにボールを入れるところから始まる。ただそこは相手も一番に対処してくるポイントであり、最終ラインから簡単にはボールを入れさせない。

　そこをシルバは、ボランチの位置やSBのポジションに降り、最終ラインとスビメンディの間に入ることで、ボールの流れを滞らせなかった。しかしシルバがいない今、スビメンディヘのパスコースを消されたCBから、右サイドに開く久保の元へ直接パスが届けられることが多かったが、これでは久保がパスを受けるのが、ハーフライン寄りの低い位置になってしまい、効果的な攻撃へと繋がらない。

　そんな中でも久保は、存在感を発揮した。

　試合が進むにつれ、徐々に前線でボールを受けられるようになると、相手をかわしてシュートを放つ場面もあった。ただ枠を捉えることはできなかった。また得意のカットインで切り込むと、相手マーカーがたまらず久保のユニフォームを引っ張る。ファールを誘発して、イエローカードを出させている。

　ソシエダは攻撃陣に前半の終盤頃からアップの準備を進めさせていた。そして後半の頭からカルロス・フェルナンデス、バレネチェアに替えてオヤルサバル、サディクを投入。攻撃の色を強くした。

　引き続き右サイドに入る久保は、サイドからのクロスでオヤルサバルの決定機を演出。またボックス内で相手ミスを見逃さず、シュートを放ったものの、枠を外れてしまった。

久保によってもたらされた、この日一番のチャンス

　ソシエダにとってこの日一番のチャンスも、久保によってもたらされた。

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