身長183センチの長身で手足が長く、直球の最速は146キロを計測する。力のある直球に周囲からはスライダーと言われるほど変化の大きいカーブを組み合わせて、三振を量産する。夏の甲子園では22回2/3を投げて23奪三振。鹿児島大会では投球回の26を大きく上回る32個の三振を奪っている。スカウトは、かつて中日で最多勝のタイトルを獲得した今中慎二さんの姿と重ね合わせる。

神村学園・黒木陽琉　©Hideki Sugiyama

「直球に力があり、落差の大きなカーブとのコンビネーションで三振を取れる投手です。左打者は角度のある外角の直球と、そこから逃げていくカーブに苦労します。右打者に対しても苦手意識を持たず、内角に直球とカーブを投じていました。落ちる球を習得すると、さらに攻略が難しい投手になります。コントロールに課題がありますが、まずは長所を伸ばしてほしいと思います」

大阪桐蔭・前田に対する評価は「高校生No.1」

今夏の甲子園に出場していない投手も当然、ドラフトの候補となる。スカウトが「ドラフト1位候補」と評するのが、大阪桐蔭の前田悠伍投手。今夏は大阪大会の決勝で履正社に敗れたものの、2年生の春にセンバツ優勝するなど3季連続で甲子園のマウンドに立っている。

23年センバツでの前田　©Nanae Suzuki

　高校野球ファンの中からは「思ったほど成長していない」、「球速が上がっていない」といった声が上がっているが、スカウトの評価は下がっていない。最速148キロを計測する直球の質、直球と同じ腕の振りから投じるチェンジアップとスライダーなどの変化球を組み合わせた投球は「高校生ナンバーワン」と断言する。

「前田投手は投球フォームの再現性が高いので、大きく崩れることがありません。プロでフィジカルを鍛えれば球速は上がると思いますが、本人もスピードで勝負しようとしていないと思います。前田投手は直球の強さやコントロール、変化球の精度や牽制など、投手としての総合力の高さが魅力です」

「野球に取り組む姿勢がプロで成功する上で…」

　今春のセンバツ以降、夏の大阪大会直前まで実戦登板から離れていた点が不安視され、3年生になってから調子が上がっていないという報道もある。だが、スカウトは「全く気にしていないです」と語る。

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